19~20年秋冬ミラノ・メンズコレクション テーラーリングを軸にモダンなエレガンス探る

2019/01/15 15:50 更新


 【ミラノ=小笠原拓郎】19~20年秋冬ミラノ・メンズコレクションは、ミラノらしい物作りを背景にしたプロダクトに、新しい時代観をどう取り入れるのかが焦点となった。メンズもレディスもストリートからエレガンスへの風が吹く中で、テーラーリングをいかにモダンに表現できるかが鍵となっている。製品のクオリティーを純粋に提案するファクトリーの展示会とは違って、デザイナーコレクションはプロダクトの背景やストーリーを提示することでデザイナーの時代の捉え方を明らかにするもの。その時代観や今の服のあり様をどう表現するのか、注目が集まる。

(写真=ブランド提供)

 プラダのショー会場は、広い真四角の空間。黒いトゲトゲのスポンジのような床材に電球が整然と置かれている。電球の間の四角いランウェーをスーツスタイルのモデルたちが足早に歩く。グリーンのスーツにぐるぐると巻いたオーバーベルト、グレースーツにはコルセットのようなパーツをかぶせる。スーツに重ねたカーディガンなど、テーラードスタイルにコーディネートで新しい何かを加えようとしている。

プラダ

 レザージャケットやレザーコートにはファーの耳あて付きのキャップ。ボンバージャケットをタックインしたスタイル、ショルダーにボリュームを重ねたセーターなど、キッチュでバッドテイストが交じり合う。グレーブルーのスーツは程良いシェイプのきれいなシルエット。しかし、今の時代の新しいテーラーリングのあり様をどう描くのかという点では、コーディネートだけでは物足りない。ミウッチャらしい、ただ美しいだけではないアイロニーやユーモア、インテリジェンスにあふれる今の時代のテーラーリングを期待したのだが、残念ながら今シーズンはそこまで辿り着けなかった。

プラダ

 マイケル・コース傘下となって初めてのショーを見せたヴェルサーチェは、これまでよりも軽やかで若々しいラインを揃えた。ハーネス柄やロココ柄などのヴェルサーチェのアーカイブプリントをアクセントに、バイカースタイルやテーラーリングをミックスしていく。

 自動車の「フォード」のロゴを取り入れたプリントシャツやレーシングジャケット、GVの柄をモノグラムで描いたコートやセーターなどポップでキャッチーな柄がいっぱい。レディスで登場したランジェリードレスとコートとフェザー刺繍のコーディネートを、そのままメンズでもスーツとランジェリートップとフェザー刺繍に置き換えて見せる。そんな楽しい遊びときれいな色が、はじけて見える。ボクサーパンツとテーラードジャケットを組み合わせたスタイルもエキセントリックに見えるところと、控えめにボクサーパンツを加えていくところの両面があって楽しい。

ヴェルサーチェ
ヴェルサーチェ

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