18年春夏NYコレ アトリエ会場で“脱力系”ムード

2017/09/13 04:30 更新


 【ニューヨーク=五十君花実、杉本佳子通信員】18年春夏ニューヨーク・コレクションに、明るくチアフルな色柄が広がっている。ピンクや朱赤、パープル、ミントと、花柄やアールデコ調の幾何学柄が目立つ。「景気や政治的な状況から、気分が落ち込むようなことはしたくない。消費者を元気づけたいんだ」と、靴デザイナーのポール・アンドリューは展示会で語っていたが、他のデザイナーも同様に感じているのかもしれない。

(写真=catwalking.com、ランディ・ブルック)

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 シース・マルジャンを手掛けるサンダー・ラックは、モンセのデザイナーデュオとともに、今ニューヨークで最も話題を集めている新世代デザイナーの一人だ。

 ショーは、ブランドのアトリエが会場。ロールに巻かれた布、ミシン、資料用の古着、サンダー自身の仕事机などが置かれた中を、モデルが歩いてくる。きれいなカラーパレットは彼のデザインの特徴の一つだが、今季はあせたトーンのピンクやオレンジ、グリーンが続く。それもそのはず、〝洗濯を経た服〟というのがポイントなのだという。

 ボーダー柄ニットドレスは糸が引きつったようにフロントがくしゅくしゅっとつままれ、ケーブル編みのセーターは斜行してよじれたように体に沿う。シャツドレスはストライプ柄がにじんだような柄だ。カジュアルアイテムだけでなく、ファーに合わせたセクシーなドレスや箔(はく)の輝きがグラマラスなスーツも、まるで乾燥機にかけてしまったかのようにシワシワ。

 この数年トレンドとなっている〝エフォートレス〟とも何か違う、言わば〝脱力系〟の可愛さ。アトリエが会場という距離の近さも相まって気心が知れたような感覚になる。こうした親密でパーソナルなムードこそ、今、ファッションに求められているように感じる。


シース・マルジャン
シース・マルジャン


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