ふるさとは遠きにありて思ふものー。福岡を発って20年以上、今やファッション業界やクリエイティブシーンで大活躍するみなさんが、焼酎片手にホームタウンの魅力を縦横に語りました。ーsenken h for FUKUOKA 2013年4月5日発行号より
※座談会参加者の肩書きや紹介したお店は当時のものです
海と山と、食と食と食!
北島 明 Akira KITAJIMA
フォトグラファー。62年福岡市生まれ。87年九州産業大学芸術学部写真家学科卒業。90年には「朝日広告表現技術賞」を受賞。93年に初の写真集「UNTITLED」を刊行。現在、広告やジャケットイメージ、ファッション雑誌やカタログを中心に活躍中。父、寛も現役で、福岡で写真を撮っており、2年前に写真集「日々日常」を刊行。 http://www.sputnik.ne.jp/
源内 礼 Rei GENNAI
75年東京生まれ、福岡育ち。中高時代は長崎で過ごし、東洋英和女学院大学入学を機に来京。セレクトショップ「BEAMS」の販売促進本部にてプレス部門のマネジメント業務を担当。プライベートでは続けて6年目になる茶道に夢中。コックである父親は古賀でフレンチレストラン「キュイジーヌ Gennai」を経営している。 http://www.beams.co.jp
平野 淳 Jun HIRANO
ファッションディレクター。1975年小倉生まれ。高校時代は宗像市の名門野球部に所属、後輩にはフラワーアーティスト、東信が居た。大学で東京に出て、卒業後、「グッドイナフ」に入社、09年には自身のメンズブランド「Balabushka Remnants」をスタート、現在に至る。奥さんも福岡出身でビームスに勤務。 http://balabushka.tv/
北島(以下K):みんな、福岡のどこなの?
平野(以下H):僕は北九州です。
源内(以下G):わたしは古賀。北島さんは市内?
K:高宮。平野君は小倉?
H:そうです。
K:北九州のなかでも一番柄がいいところやね(笑)。
H:‥(笑)。小中が小倉で高校は野球部の寮に入っていました。東海大五です、宗像の。
G:宗像やったん。うち弟、宗像高校よ。サッカーやってた。北島さんが一番離れて長いですよね。
K:去年の12月で50歳になったんだけど、学校も福岡やったんで東京に出たんが24歳くらい。生まれたのは博多区の上牟田。福岡離れて25年くらい経つね。
H:東京と福岡の1番の違いって何ですかね。
K:食べ物の値段。福岡は安いね。
G:東京来た時は麺類の値段にびっくり。ラーメンなんて1杯400円とか500円が普通だったから。
K:俺行ってたとこなんか350円くらいよ(笑)。
G:あと、焼酎の量が違う。こっちだとロックグラスにでかい氷入れて、白波ちょろっと入れて700円ってなに!、みたいな。福岡やったらゴボゴボ入れて300円ぐらいでしょ。
K:やっぱり食べ物は大きい。福岡で育ったら厳しくなるよね、東京とか他で食べよる時に。
H:同じお金払うなら、って思っちゃいますね。
G:福岡だとお金を掛けなくても楽しめる。
K:食べ物の安さが1番だけど、海と山が近く、っていうのも良くない?
H:それ、ホントありますねー。遊びに行くのもすぐですし。
K:ほんと、便利。山って言っても、油山とかだけど(笑)。
G:懐かしー、油山。
K:こないだ何かで見たんだけど、油山の近くにいいレストランができたらしいんよ。
H:あ、それ知り合いがやってるんですよ。なんて店だっけ。調べて。
G:あ、出てきた「レストランMORI(1)」。すごいやん、これ。超キレイだよ。
H:でしょー。
K:山もいいけど、海もいいよね。ドライブで志賀島とか糸島とかよく行った。海ノ中道とか、両側が砂浜と海で単線の電車が走っていて、あんなキレイなところはないね。東京に行くまではあれが普通だと思ってたけど違ってて。この間行ったら改めていいなと思った。
H:砂が黒いじゃないですか、こっちは。あれもびっくりしましたね。福岡は白い。
G:そうだね。私は恋の浦とかも行ってました。
K:新宮とかもね。
H:とにかく距離感がちょうどいいですよ。市内から3、40分でだいたいどこでも行ける。こっちで日曜に湘南行こうと思ったらなかなか大変じゃないですか、気合もちょっと要るし(笑)。福岡だったらふらっと行ける。
K:僕は学校で2時間ぐらい空いたら、海に行って写真撮ったりしてた。香椎からだったらすぐなんで。
H:いいっすねえ。海も山もあってご飯も美味しいから東京から戻りたい、って人居ませんか、まわりに。
K:居るよ。老後は福岡に帰りたい、って人。
G:私の知っている人でもすでに居ますよ、何人か。グラフィックの仕事している人で、基本、PCでの作業でまかなえるから、月1の打ち合わせだけ東京に行くみたいな。
K:知ってる? 常盤響さん(2)が福岡に引っ越したの。全然、福岡出身とかじゃないのに、行って気に入っちゃって(笑)。仕事の時だけ東京に来てるけど、今は福岡がベース。岩田屋三越さんのバーゲンのムービーとスチルを一緒に撮った、映像作家の小島淳二君(3)も糸島に家を建てて、仕事の時だけ東京に行ってる。
G:福岡に貢献してるじゃないですか、北島さん!(笑)
H:東京へのアクセスがいいですからね、空港が近くて。
K:もう仕事圏内に入ってきてるよね、福岡も。
G:そういう人が増えているから、地方の媒体やグラフィックのクオリティが上がってる気がしますね。もともと、東京の第一線で活躍されている人たちだから。最近の福岡でいい店ってある?
H:長浜の「ディレクターズ(4)」ってお店知ってる? (藤戸)剛君のところの。まだ行けてないんだけど、奥がデニムの工房になってて凄くいい雰囲気らしい。
G:こないだ行ったよ。素敵なお店だった! 北島さん、最近行った面白いお店ありますか?
K:食で言えば、こないだ凄いディープな店に連れてってもらった。赤坂門市場の「ダーチャ まんぼ亭(5)」ってとこ。とにかく安いの。5人でラーメン食べて焼酎1本頼んで確か3800円とかだった。
H:えーー(笑)。
G:平野君、小倉だとラーメンどこ行くの。
H:「月天(6)」は帰ったら必ず行く。もちろん、豚骨。福岡やったら親不孝の「やまちゃん(7)」。遅くまでやってるから。
G:公園の横やろ
H:昔はよう行きよったねー。
K:東京の知り合いがやっている今泉のバー「クルペオ(8)」って店も行ってみて。僕が東京でよく行く「黍(9)」って美味しい店の人が食事の指導してるから絶対旨いはず。
G:警固の「version(10)」ってお店がおすすめ。地元で洋服屋の店長をやっていた知人が4年ほど前に始めた店で、お酒が凄く美味しい。同じビルの1階にある台湾料理「新世界 檳榔の夜(11)」もいいですよ。あと、香椎の「山ちゃんうどん(12)」も帰ったら絶対行く。小学校の時から通ってるから。
K:わかる。旨いもん。
H:知り合いがやってる大名の「Buzz Coffee(13)」に行って下さい。あと、博多だったら「味の正福(14)」。和食の定食屋さんで天神コアさんの地下とかにあって。みんな行ってるよね。
G:鯖みりんが美味しいよ。
H:北九州の方に多い「資さんうどん(15)」も絶対行きます。あと、北九州といえば、角打ちも外せないですね。うちの親父もよく行ってた(笑)。おっさんばかりがたむろって、小さい頃からずっとその光景を見てた。
K:立って呑んでるから自由に動けるし色んな人と話せて楽しいよね。
H:みんなでモノを持ち寄るんですよ。今日、竹の子取れたとか、ゆず胡椒つくったから持って帰れとか(笑)。
K:福岡の人が東京に来た時は、福岡の人がやっている高級立ち飲み「なるきよ(16)」に行ってもらいたいね。素材の良さを生かしながら、ひと手間かけて凄く美味しい。
H:ですよねえ。
K:あと、なるきよ出身の方がやってる三宿の「しとらす(17)」も週1ぐらいで通ってる。鬼丸漬物の親戚がやっている恵比寿の「たまや(18)」も外せないね。
G:食べもんの話ばっかしよるけど、ファッションの話はせんでいいと?(笑)
H:福岡の話やとそうなるよね(笑)。 (東京・外苑前の『もつ鍋・旦過』にて)
(1)レストランMORI
(2) 常盤響 66年東京生まれ。グラフィックデザイナー、DJ。最近は写真家としての活動がメイン。
(3) 小島淳二 66年佐賀生まれ。TVやCMのほか、ミュージックビデオを多数製作。
(4) Directors
(5) ダーチャ まんぼ亭 Tel 092-712-8383
(6) 月天 西小倉駅近くのラーメン店。 Tel 093-581-0393
(7) 長浜屋台 やまちゃん
(8) Culpeo Tel 092-712-3777
(9) 黍 Tel 03-3797-6303
(10) version Tel 092-714-3946
(11) 新世界 檳榔の夜 Tel 092-713-3531
(12) 山ちゃんうどん Tel 092-963-0407
(13) Buzz Coffee Tel 092-714-2020
(14) 福岡天神 味の正福
(15) 資さんうどん
(16) なるきよ Tel 03-5485-2223
(17) しとらす Tel 03-6805-3702
(18) たまや