【完全保存版】レースの基本まとめ・その2

2017/03/19 05:30 更新


今回からは各レースの違いについて学びましょう。機械で作るレースの中から、まずはエンブロイダリーレースに分類される生地を見て行きましょう。

エンブロイダリーレースって?

エンブロイダリーレース機で刺繍を施したレースの総称で、その技法から刺繍レースともいわれます。表現の幅が広く、レースの中で最も用途が多様です。様々な種類がありますが、レース専門商社や専業メーカーは、綿レース、チュールレース、ケミカルレースに大別しています。

①綿レース


綿の生地をベースにしたレース。エンブロイダリーレースが誕生した当初、綿が主流だったことに由来します。現在は、様々な素材が使われるため、生地レースともいわれます。ボーラーという錐(きり)で穴を開けると同時に刺繍する「ボーラーレース」が代表的。

★レース専門商社に聞きました!「カットワークレース」は通じない?

刺繍技法の「カットワーク」を冠にしたカットワークレース。アパレルメーカーや店頭で頻出する名称ですが、レース専業メーカーには通じないこともあるので注意。そもそも、カットワークレースは生地をはさみで切り抜き(カット)、輪郭を糸でかがる(ワーク)手工レース。エンブロイダリーレース機では、錐で突いて〝穴〟を開けるため、ボーラーレースと呼ばれることがほとんどだといいます。

②チュールレース


チュール(六角形の網目が連続するネット)を基布に柄をあしらったレースの総称。エンブロイダリーレース機では、水溶性の生地を貼り合わせたチュールに刺繍やアップリケを施した後、生地を溶かし、刺繍したチュールだけを残します。ラッセル編み機で柄を編みこむ製法も。

③ケミカルレース


水に溶ける基布に綿糸などで連続模様を刺繍した後、基布を溶かし、刺繍糸だけを残したレース。重厚で豪華な見た目から、ドレスやフォーマルウエアに採用されることが多いですね。モチーフを切り離し、パーツにも用いられます。

★レース専門商社に聞きました!ケミカルレースは非化学の高級レース

その名称から、エコやオーガニック志向のブランドに敬遠されることが少なくないというケミカルレース。ケミカルといわれる由縁は、開発当初の製法から。

昔はシルクや綿で作った基布に刺繍し、薬品で基布を溶かしていました。現在の基布は水溶性ビニロンなどで、溶剤は水。残った刺繍にも化学の要素はありません!海外では一般に、ギュピールレース、ギューピーレースと称されます。安価なイメージをもたれがちですが、実はエンブロイダリーレースの中で一番価格が高いのです。

(写真提供=落合レース)



この記事に関連する記事