プレミアム市場へ、米沢織物×デザイナー

2017/02/27 06:42 更新


 米沢織物の若手経営者有志が米沢織物のブランド価値向上を目的に立ち上げた「米沢テキスタイルプロジェクト」はこのほど、東京・表参道で東京のデザイナーらとともに作った試作品を発表した。

 同プロジェクトは16年秋、山形県の「メイドイン山形ものづくり推進事業」に採択されてスタートした。地域で培ってきた伝統技術を生かして新しい価値を見出すことを目的に、米沢織物産地の若手経営者と山形大学工学部、東京のファッションデザイナー、インダストリアルデザイナーが手を組んで試作品を作った。近年拡大しているプレミアム市場の開拓を目指す。

 試作品では、ルームウェアのローブと照明を製作した。きもの用の38㌢幅の反物を立体裁断したローブは、本草木染の「紅花」や「藍染」で染めた。滑らかなラインを描く優雅な表情が特徴だ。

 デザインを担当したファッションデザイナー八巻多鶴子さんは、「通常よりも糸の撚りや織りを甘く仕上げることでふっくらとした質感を表現した」という。高級ホテルなどでくつろぐためのウェアを想定しており、高品質にもこだわっている。綿状のシルクを紡績した柔らかいショールも作った。

 照明デザインは、インダストリアルデザイナーの上島弘祥さんが担当した。グラデーションに染めた二重紗が浮かぶ樹脂製の照明で、有機ELの柔らかい光で照らす。デザインコンセプトは「オーロラ」。米沢の繊細な織物と、山形大学で研究が進む有機EL照明の技術を融合した。高額商品だが、他にはない商品として推していく。

 同プロジェクトは、地域産業の高付加価値化とブランド化による産業振興が目的。日本で最も人口減少が進む東北で、若者が魅力的に思える仕事を作って労働人口の定着を図り、東北オリジナルの地方創生モデルを組み立てることを視野に入れる。日本を代表する織物産地から新たに発信する取り組みになる。

 同プロジェクトは15年に伊ブルネロ・クチネリで行われた研修がきっかけ。一般社団法人、東北経済連合会の創立50周年記念事業「東北発!未来創生プロジェクト」の第一弾として、クチネリにアプローチし、東北の若者11人がクチネリの拠点であるソロメオ村で研修した。ソロメオ村は、クチネリによって約30年かけて職人が生き生きと働く美しい村に生まれ変わった。東北が行おうとしている地方創生のモデルになっている。

きもの用の38㌢幅の反物を立体裁断したローブ
きもの用の38㌢幅の反物を立体裁断したローブ
グラデーションに染めた二重紗が浮かぶ樹脂製の照明
グラデーションに染めた二重紗が浮かぶ樹脂製の照明


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