YKKは、学生を対象にしたファッションコンテスト「第19回YKKファスニングアワード」の授賞式を都内で開催した。グランプリは、アパレル部門が名古屋モード学園の杉山侑己菜さん、ファッショングッズ部門は名古屋モード学園の岩堀真理乃さんが受賞した。
応募総数は6486点(昨年は6056点)で過去二番目に多かった。応募作品の中からグランプリ(賞金100万円)、優秀賞(20万円)、審査員特別賞(10万円)、YKK特別賞(同)が選ばれた。受賞者には賞金のほか、トロフィーと創作活動用にYKKファスニング商品(5万円相当分)も贈られた。
アパレル部門グランプリの杉山さんの作品テーマは「3Dスイッチ」。「スナップを留めることが立体へのスイッチになる」をコンセプトにした。1枚の平面の生地を、YKKのスナップボタンを使うことで洋服に仕立て、立体になることで生まれるゆがみや違和感を楽しんでほしいという。簡単に留め位置を変えられるため、洋服のシルエットを変形させて着用できる。
審査員の藤田恭一氏は、「センスが光っていた。アワードでは強いものを作ろうとしてしまいがちだが、繊細さや優しさが作品に込められていた。YKKの商品が持つ機能と感性を読み取り、自身のセンスと重ね合わせた姿勢も評価したい」と講評した。
ファッショングッズ部門グランプリの岩堀さんは、「オリガミ“ペーパー・バルーン”バッグ」がテーマのバッグを作った。紙風船の折り順をカラフルな親しみのある色で表現して、折り紙のようにバッグを組み立てられるようにした。閉じる・開くの両操作を容易にしたファスナー「クイックフリー」、重厚感のある高級ファスナー「エクセラ」などを用いた。
「削ぎ落とされたデザインに共感した。広げると1枚の布になるのが作品の特徴だが、これはクリエイターの物作りの原点でもある。刺繍で色をつけて折り順を表現している点など、すべてがファッションとして機能しており、計算しつくされている」と、審査員の舘鼻則孝氏はコメントした。