子供服と教育的絵本をセットにしてオンラインで販売するEnlightened Generationがニューヨークで発足した。創業者はニューヨークで長年アパレル会社の経営者をしてきたロビン・ストッターさんと、ニューヨークタイムズのベストセラーリストによく登場し世界で300万冊以上売ってきている絵本作家のスーザン・ヴェルデさん。発案者はストッターさんだ。
ある日、ストッターさんの息子が学校で学んだナスカの地上絵について興奮気味に話し始めた。ストッターさんの夫はナスカの地上絵を良く知っていて、「何故描いたのだと思う?」「どんな道具を使って描いたと思う?」と息子と会話を始めた。「子供がこんなふうに親と世界の出来事について話し合いすることは、デジタル画面をスワイプしているよりよっぽどいい」と思ったストッターさん。ナスカの地上絵にみられるモチーフを入れたポロシャツなどつくったら、子供が世界の出来事に興味をもったりそれについて話したりするきっかけになるのではと考えた。
一方、ヴェルデさんは25年前、サマーキャンプでストッターさんの上司だった。ストッターさんは25年ぶりに思い切ってヴェルデさんに連絡し、プロジェクトのアイデアを送った。すぐにヴェルデさんから返事がきて、話はとんとん拍子に進み、2人でEnlightened Generationを設立することになった。
お客はまず、サイトで服を選ぶ。Enlightened Generationはその服と同じテーマの本をセットする。ナスカの地上絵のモチーフ入りならナスカ、言語についてのモチーフ入りなら世界には7千語あることなどを紹介した言語、イエローストーン国立公園内のカラフルな温泉から着想した色使いを取り入れた服ならイエローストーンの温泉についての本という具合だ。本は現在6種類ある。ナスカに関しては、ナスカ研究所をもつ山形大学が監修した。
子供の元には箱が届く。開けてみると、右側に本、左側にはバックパックなどに吊り下げることができるアクセサリーが内蔵された透明な水溶性のパッケージがある。つまり、そのパッケージを水に入れることで中身を取り出せる。「まずは子供に面白がってほしい。水問題とプラスチック問題に興味をもってほしい」という意図からこのようにしたのだ。本とアクセサリーを取り出すと、その下に注文した服が入っている。
それぞれの本の中には、子供たちに動画、アートワーク、ストーリーなどを作成して提出するよう仕向けるセクションがある。Global Board Educationが3ヶ月に1回、応募作品を審査し、優勝者1人を選出し、「何かクールな経験」を授与する。
対象年齢は3歳から10歳。利益の5%は非営利団体のグローバルギビングに寄付され、そこからそれぞれのテーマに合った団体に寄付が回される仕組みだ。
アパレルはフーディ、ショーツ、タンクトップ、ポロシャツ、Tシャツ、レギンスなどで、白黒、グレー、カーキ、ネイビーなどジェンダーフリーで合わせやすい色ばかり。オーガニックコットン、リサイクルポリエステルなどを使い、ベトナムで生産している。1箱に2〜3着まで収納可能だ。
ヴェルデさんの描いた本はビジュアル的に美しく見やすく、内容が充実している。子供でなくても入手したい大人はいるのではと思われるが、ストッターさんは本だけ売るつもりはない。あくまでも、「ファッションと絵本を通じて子供に世界に目を向けてもらうこと」をモットーとしているのだ。現在は英語のみだが、いずれ他の言語にも広げていきたいと考えている。
89年秋以来、繊研新聞ニューヨーク通信員としてファッション、ファッションビジネス、小売ビジネスについて執筆してきました。2013 年春に始めたダイエットで20代の頃の体重に落とし、美容食の研究も開始。でも知的好奇心が邪魔をして(!?)つい夜更かししてしまい、美肌効果のほどはビミョウ。そんな私の食指が動いたネタを、ランダムに紹介していきます。また、美容食の研究も始めました(ブログはこちらからどうぞ)