ワークマンは地球環境への負荷が少ない事業モデルと製品開発を強化する。今年から素材や製造工程で環境に配慮した新商品の投入を増やし、22年3月期の環境対策製品は43品目、年間売上高で100億円を超える見通し。サステイナブル(持続可能)な商品の投入に加え、商品の廃棄率の低下、梱包(こんぽう)資材の簡素化などに取り組む計画だ。
(河邑陽子)
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地球温暖化による最近の暖冬の影響で、同社では主力商品の一つの防寒重衣料が伸び悩み、売り上げに影響が出始めたため、今年から環境対策に全社的に取り組むことに決めた。同社のPBは商品の平均寿命が5年と長めで、端サイズや差し色の売れ残りは翌年も売る仕組みで、現在でも全売り上げに対する廃棄率は0.6%以下。今後は廃棄率のさらなる低下に重点を置きつつ、消費者に価格転嫁しない形でサステイナブル商品を拡充する。
今期は、ペットボトルの再生糸で作ったポロシャツ、生地原料ポリマーの一部を植物由来原料に置き換えたワークスーツやアウター、ブーツなど、環境対策商品を幅広く提案。ダウンや中わたを全く使わず、空気で保温する〝ポンプウェア〟も、今秋冬から本格販売を開始する。
ポンプウェアは昨年、試験販売したベスト約2万点が即完売となる人気。空気の量で温かさを調整でき、軽くて温かく、空気を抜くと普通のベストになる点が好評だった。今年はポケット内のウェアと一体型の空気入れポンプに加え、分離型の付属の空気入れを使って短時間で充てんできる改良版を開発。ベスト税込み2900円に加え、新たにブルゾン3900円、パンツ3500円も販売する。
レインウェアで6年連続売り上げ1位の看板商品を進化させた後継モデルも、AI(人工知能)とデジタルを駆使して開発し、生地の廃棄ロスの20%削減を実現した。
新商品「イナレムストレッチレインスーツ」は耐水圧が従来品の2倍の2万ミリメートル、透湿度は従来品の5倍の2万5000グラム(1平方メートル当たり24時間)で、上下で4900円の高機能な環境と家計に優しい商品として訴求。初年度45万点を販売する計画だ。