ECサイトのコンテンツを見慣れたSNSと同じようなUI(ユーザーインターフェース)で実現できる新機能が、ビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo(ビジュモ)」に実装された。
AIを活用してユーザーに合わせたコンテンツレコメンドを行う「visumo recommend(ビジュモレコメンド)」機能と、SNSフィードのようなユーザー体験を可能にする「フィードモーダル」テンプレートの実装により、ECサイトのUIに変化をもたらす。
visumoのプロダクト開発およびサービス提供を行うvisumoの井上 純社長に話を聞いた。
EC売り上げの約9割がスマホ経由になったのに「UIは10年変化なし」に疑問
■SNSのようなユーザー体験を
――なぜスマホ向けのUIにする必要があるのか
近年のECサイトはトラフィックだけでなく売り上げも、約9割がスマートフォン(スマホ)経由になった事業者も増えてきていますが、スマホ上のUIやデザインはこの10年ほとんど変わっていない、という問題意識から、開発・実装を進めました。
そもそも、今までのECサイトはパソコン(PC)主体のウェブデザイン構成のまま構築されてきました。スマホが普及するなかで、PCで表示してきたコンテンツをスマホの“幅”に合わせるデザインがほとんどです。そのようなPCユーザーを前提としたサイトデザインの構造を今の時代にあった本来のスマホファーストにしてコンテンツを表現したいというのが、開発の大きな意図です。
――これからのスマホファーストなUIといえば、どんなものがあるのか
スマホファーストでいえば、私たちが普段慣れ親しんでいるInstagram、YouTube、TikTokなどSNSのUIがわかりやすいと思います。SNSでは複雑な検索も遷移もほとんどせず、何気なく自分の「欲しい」や「気になる」情報に行きつき、多くの時間を消費しています。このようなユーザー行動が一般的になっているのにも関わらず、未だにECサイトの構造やデザイン構成には変化がなく、特集ページや新着商品、商品レコメンドやスタッフ投稿などの要素が独立しており、それぞれのページに遷移して情報を得る構成が主体です。
――どう変化させていくのが良いのか
通常、ECサイトのレコメンドといえば「商品」軸でおすすめが表示されるのですが、私たちが意識しているのは「コンテンツ」を軸にして、慣れ親しんだSNSライクなUIで表示することです。UIとコンテンツ軸の2つの問題意識に対し、今回の開発でコンテンツをレコメンドする機能と、SNSフィードのような表現ができるテンプレートをリリースしました。
これにより自社のECサイト上でも、コンテンツを軸にしたスマホに最適なウェブデザインで、SNSのようにあまり意識せずに、見たいコンテンツが見られる状況を作ることが可能です。
コンテンツ資産を活かす
――表示するコンテンツはどう作るのか
現代社会の私たちの生活は、すでにコンテンツ過多とも言えるような状況ではないでしょうか。企業やブランドの公式Instagramで投稿した写真や動画だけでなく、店舗やスタッフが運用するInstagram、インフルエンサー、商品を購入した一般ユーザーの投稿(UGC)などの写真や動画もあります。プロモーションビデオやInstagramでライブ配信アーカイブ動画など、たくさんのコンテンツが実際にあります。今後さらに生成AIの普及により膨大に増えていくと思っています。
こうしたコンテンツを有効に使うために、visumoサーバーに収集し、ユーザーにとって最適なコンテンツを、TOPページや商品詳細ページなどの出したい場所にタグを埋め込むことで表示することができます。AIによる機械学習を活用したレコメンド機能により、プラットフォーム内で膨大なコンテンツから最適なコンテンツを選び出して表示することで、お客様にとっても質の高い、関心度の高いコンテンツを見てもらうことができます。
――実際の効果は
株式会社バロックジャパンリミテッド様、株式会社ジェイ・ビー様、株式会社ダッドウェイ様など、複数社に先行導入いただきました。
レディースシューズを取り扱うRANDAを展開している株式会社ジェイ・ビー様では、通常のスタッフスタイリングのみの投稿と比べ、フィードモーダルを適用したvisumo recommend、では、商品ページへの回遊率が約4倍と、大幅に上昇しています。
SNSと同じような“ながら見”できる操作感を実現し、ユーザーが気になる、リアリティーのあるコンテンツが意識せず次々に表示されます。そのため、ついタップしたりスクロールしたりしてしまうような操作感で、その結果が数字として表れたと思っています。
さらに進化を
――これからの展開は
2つの新機能は、この数年変わってこなかった、ECサイト上のUIやコンテンツ表現を変える、画期的な方法だと思っています。visumo recommendを含めたvisumoのプラットフォームを使えば、自社ECサイトでもInstagramやTikTokのようなSNSと同じ、時代にマッチした表現ができるため、ユーザーの顧客体験価値(CX)をさらに高めることができます。多くのブランド・事業者さまに採用していただき、アパレル産業の標準になっていければと思っています。
ブランドやスタッフが本来こだわるべき「個性」が表現できるコンテンツ作りとユーザーが求めるコンテンツ表現を追求していきたい。“出会いたいコンテンツ”にどれだけ出会えるかを創出することが差別化につながり、選ばれるブランド・企業になっていくと考え、それを全力でサポートしていきます。
【ビジュアルマーケティングプラットフォーム「visumo」】
お問い合わせ先
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企画・制作=繊研新聞社業務局