ブルックリン美術館でヴァージル・アブロー回顧展を開催

2022/07/07 10:59 更新


「ヴァージル・アブロー フィギュアズ・オブ・スピーチ」展

 ニューヨークのブルックリン美術館で「ヴァージル・アブロー フィギュアズ・オブ・スピーチ」展が始まった。19年にシカゴ現代美術館で初の回顧展として開催された同名の展覧会は20年冬からブルックリン美術館でも開く予定だったが、コロナ禍で延期されていた。

 12年にアブローが立ち上げた最初のファッションブランド「パレックスビジョン」の発足時のプロモーションビデオ、スニーカー、スピーカー、ブルーのラックにかけられた服、ジュエリーなど、シカゴで展示されたものの一部が持ち込まれた。中央にはブルックリン美術館独自の「ソーシャル・スカルプチャー」がそびえ立つ。木造の大きな家で、中は人が自由に歩き回れる空間。外側は縁側のようにくつろいで座れるスペースがある。デザイナー、アーティスト、建築家、学生、活動家が集まって意見交換する場を想定しているという。黒人のアーティストや学生にはこうした文化施設が不足しているとして、アブローがデザインした。

「ヴァージル・アブロー フィギュアズ・オブ・スピーチ」展

 19年のシカゴ展の方が規模も大きく点数も多く、展示の仕方もクリエイティブで迫力があった。それは併設されたギフトショップもしかり。シカゴ展のときはアブローは生きていたが、今はいない。その違いは埋められないのだろう。ソーシャル・スカルプチャーが、アブローが願っていたような形で活用されることを祈る。会期は23年1月29日まで。

(ニューヨーク=杉本佳子通信員、写真=ブルックリン美術館提供)



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