季節が変わったのでミシンを出して、枕カバーを作ろうと思った。家にある布で済ませてもよかったが、せっかくなら気に入った生地を選びたいと思い手芸店へ向かった。
色も柄も決まっていたが、生地が決まらない。綿、麻、ポリエステルなどの素材がそれぞれどの様な機能を持つかも知っている。触れば厚みや柔らかさの違いも何となく分かる。それでも、どれが自分に合った心地よい枕カバーを作れるのか自信が持てなかった。
日頃の取材では素材メーカーや産地企業の話を聞く機会が多い。機能性や風合い、開発の苦労について話を聞くたび、工夫されたテキスタイルが、この世の中にはたくさんあることを知った。ところが、自分で選ぶとなると話は別だった。売り場で一人になると迷ってしまった。
素材にはそれぞれ個性がある。取材を通じて、それが理解できるようになった。個性がもっと身近な言葉で伝われば、専門家じゃなくても選ぶ楽しさが増すのではないかと思う。自分の表現力を磨くと同時に、生地が発している言葉も理解できるようになりたいと感じた。
(知)
