ここ数年、メンズ市場で短パンの受難が続いた。コロナ禍による外出自粛でまず需要が減った。次に、むだ毛を気にする10~20代の短パン離れが進み、着用率がさらに低下した。
ショート丈を敬遠する若年層向けに、膝下丈のパンツが出回るようになった。カジュアルブランドやセレクトショップは長め丈の短パンを辛抱強く推し続け、少しずつ若年層に受け入れられ始めた。
長め丈が新規の若年層、短め丈が大人客の買い替え需要をそれぞれ捉え、店頭での売れ行きに勢いが戻ってきた今夏。都庁職員がクールビズで短パンを解禁したというニュースが流れた。
公務員が着れば、需要はさらに拡大するかと見ていたら、テレビやネットで「おじさんの短パン姿は不快」という街頭インタビューが流れた。ネガティブなイメージが広がれば、せっかく戻った勢いが鈍るのでは。そう思って定点観測で取材するセレクトショップに聞くと、どこも「テレビやネットの意見は現実の商売には関係ない」と冷静だった。
「40代でパーカを着るおじさんはおかしいってネタ、覚えてますか」。ある店は2年前の論争を引き合いに出して「あの時、パーカを買う大人客は別に減らなかった」と振り返る。ネット上でもめたり、炎上したりするトピックが、現実世界で服を買う人に与える影響は実際のところかなり小さいようだ。
