《視点》リーバイス一族の市長

2025/01/28 06:23 更新


 米国の主要都市の中で、コロナ禍のロックダウン(都市封鎖)による被害を最も大きく受けたサンフランシスコで、新しい市長にリーバイ・ストラウスの一族であるダニエル・ルーリー氏(47)が選出された。

 観光客が訪れなくなり、在宅勤務で人出のなくなった街はホームレスや薬物中毒者が増え、地元の人も近寄らなくなった。35年にわたって旗艦店を構えていた百貨店のノードストロームや多くの小売店が閉鎖し、コロナ禍終息後もオフィスの空室率は35%と高い。

 しかし、地元の住人は、歌にもなってきた風光明媚(めいび)な街で、この状況が続くと誰も思っていない。「街の復興に行政の力が必要」とされた昨年11月の市長選挙では現職市長らが立候補。結果、政治経験のないルーリー氏が選ばれ1月に就任した。

 1873年にジーンズを生み出した「リーバイス」の歴史は、ゴールドラッシュ以来、挫折の時期もあったが、時代の先端を走り続けてきた街と共にある。住人は、「街を愛する」ルーリー氏の良識に街の復興を託した。

(立)



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