国宝第1号は?と問われてすぐに答えられる人はそう多くないだろう。答えは京都・太秦広隆寺にある弥勒菩薩半跏思惟像(みろくぼさつはんかしゆいぞう)である。まだ奈良に政権があった時代だが、京都西郊の地に勢力を張っていた渡来人の秦河勝が、聖徳太子から仏像をたまわって建立したものであり、京都で最も古い寺院の一つとされている。
3月初旬に同寺を訪れた。まだ桜の季節には早い時期もあってか、訪れる人はまばらだった。近くに太秦映画村などもあるが、近隣に大きな神社仏閣などが少ないためか、東山や嵐山のような人混みは見られない。特に外国人旅行客がほとんど見られないのが印象的だった。
多くの神社・仏閣と異なり、同寺にはホームページが無い。紹介は観光局が紹介するページなど一部にとどまっている。写真撮影が禁止されていることもあってか、SNSなどの投稿画像も多くない。仏像の前で静かに瞑想(めいそう)する女性の姿が印象的だった。想像の域を出ないが、観光地として人を集める場とは一線を画している感がした。
インターネットやSNSの広がりで、誰でも情報を発信することが容易になった。僻地の小さなメーカーやショップにも人が集まることは素晴らしいことなのだろう。それでも、あまりにも情報が氾濫(はんらん)する時代のなか、あえて情報発信しないことにも価値があるように思えてきた。
