《私のビジネス日記帳》AIと〝想像の外〟 JR西日本SC開発社長 竹中靖

2026/04/08 06:25 更新NEW!


 靴を買った。足底筋膜症の私が、数百人規模のビジネスセッションの壇上でも、パーティーでも履ける一足を探した話だ。

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 まずAI(人工知能)に相談した。症状、おしゃれかどうか、ドレスコード…。候補は絞られ、会話のラリーは快適だった。だが気づく。AIは私の「こういうのが良い」に寄り添っているに過ぎない。鏡のように優秀で、鏡のように、想像の枠から出ない。

 足の3D計測も受け、いくつか店を回ってみた。最後に立ち寄った店のベテランスタッフが、私の話を少し聞いただけで思いもよらない一足を出してきた。履いた瞬間、足が黙った。AIも候補に挙げていたのに自分では選べなかったスニーカーだ。「想像の外」に連れ出す力は、まだ人には及ばないのか?

 それでも私はAIを手放さない。当社ではホームページをAIが正しく読める「公式情報の辞書」に作り替え始めたし、この原稿も複数のAIに読ませ、互いに議論させている。得意分野の違うAIをぶつけると、自分一人では気づけない穴がどんどん見えてくる。消費者がAIと対話で商品を探す時代。企業も売り場も、AIに見つけてもらう力と、人が「想像の外」へ連れ出す力の両方がいる。

 何回も何回も壁打ちをしてこの原稿を仕上げた私はAIを使いこなしている――と言いたいところだが、付き合わされたAIのほうこそ、大変だったと思う。

(JR西日本SC開発社長 竹中靖)

「私のビジネス日記帳」はファッションビジネス業界を代表する経営者・著名人に執筆いただいているコラムです。

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