《視点》地方専門店の町おこし

2024/10/02 06:23 更新


 地方専門店を取材すると、地元の祭りや催事に積極的に参加して地域の一員となり、顧客作りにつなげている店がある。茨城県で直営3店などを運営するレディス専門店ロコレディは、町おこしと連動したブランドの確立に注力。本店の向かいにあった映画館跡地で、元映画館主の家族らと野外上映会を実施してきた。

 その映画館は旧水海道市の中心市街地で、娯楽が少なかった時代に文化を支える存在として73年の閉館までにぎわった。83年に取り壊されたが、「当時を思い出し、楽しんでほしい」と野外上映会を開始。15年の常総水害後は被災者を勇気づける目的で、コロナ下の20年を除いて毎年開催。9月の上映会も約200人を集めて盛況だったが、「当時を知る人が減り、一定の役割を果たした」と10回目の今回で終了した。

 ロコレディの社長は「地域に根差した活動は、人と触れ合い交流することで、参加者も店も元気になれ、自店の集客や将来の利益にもつながる。上映会でも来場者から元気をもらえた。このパワーを次の世代に渡したい」と、時代に合った新たな町おこしを検討中。10年間の継続開催に敬意を表すとともに、地域との共存共栄を目指す経営を今後も続けてほしいと思う。

(陽)



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