《視点》店長、ありがとう

2024/08/07 06:23 更新


 長年通っていた地方専門店の店長から、「退職することになった」とDMが届いた。ショックで立ち直れない。実家に住んでいたころ、2時間ほどかけて行っていた店。上京した今も、帰省のたびにお邪魔している。ワードローブの3、4割はそこで購入したといっても過言ではない。自分にとってはオアシスのような場所で、人には教えず、一人で行くのが楽しみだった。

 センスの良い店長らが「好きそう」と選んでくれたものが、どれもピカイチだったのが、はまったきっかけだ。そうして厳選した10着程度を、お茶をいただきながらゆっくり試着していくのがお決まりの流れ。決して押しつけがましくなく、価値を共感し合える親友と話しているような感覚。そのすべてが心地良かった。

 自分に似合うもの、好きなものを理解できていても、信頼できる販売員とのやりとりは特別なもの。改めて、販売員とはすごい仕事だと思う。重労働でありながら着飾って出勤し、知識を蓄えてセンスを磨いて、コミュニケーションスキルを高めて、日々私たちの前に立ってくれている。今一度、感謝したい。

(音)



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