「趣味嗜好(しこう)が多様化した分、消費者は好きな物にはお金を使うようになった」と取材先でよく耳にする。飲料などでもこの傾向は顕著で、数年前から流行しているクラフトビールに加えて、最近はクラフトジンやクラフトコーラも出てきた。
こうした流れは様々な業界に広がっている。先日、とある懇親会で出会った事業者は「世界一美しい猫のトイレ」のブランドを立ち上げるという。上質な金属を使い、多くの工程がハンドメイド。洗練されたデザインは海外の高級家具のようだが、価格は10万円を超える。
つい驚いてしまったが、販売開始前からブランドのインスタグラムには「絶対に買います」といったコメントが多く寄せられている。聞くと、おしゃれな猫のトイレはほとんど売っておらず、探している愛猫家は多いとのこと。意外な需要があるものだ。
原材料費の高騰をどこまで価格転嫁するか悩む企業が多いなか、明るい話題だ。思い切ってニッチながらニーズが期待できる高額商品を企画するのも面白いかもしれない。
(夏)