《視点》知られていないからこそ

2023/03/29 06:23 更新


 この春にファッション業界を離れた人と久しぶりに食事をした。アパレルメーカーに長く身を置き、キャリアの晩年には業界団体でテキスタイルビジネスの活性化に力を注いだ。その熱量の高さを目の当たりにしてきたため、学生時代は全く別の業界を志していたと聞いた時は驚いた。

 進路を変える契機になったのは、友人に連れられて見たファッション専門学校のイベント。「こんな面白い人たちがいるのか」と感動し、自分の進みたい道が一気に鮮明になった。それまではさほど服に関心がなく、友人はみな目を丸くしたそうだ。知らなかった・興味がなかった職業が意外と自分のやりたいことに近かったというのは、よくある話。就職活動でも、興味関心で志望先を固めず、視野を広く持つよう助言された人は多いのではないか。

 それでも、あまり知られていない仕事はたくさんある。例えば、縁の下の力持ち的存在。繊維・ファッションなら、テキスタイルやニット、縫製などの製造業だ。人手不足が深刻な問題になっている業種だが、この仕事の面白さをこれから知る人がたくさんいると思うと、まだ絶望する必要はないと感じる。昨今は地域を挙げたイベントやSNSなどを通じて情報発信に力を入れる動きがあり、実際に人材確保につながる例も出ている。

(侑)



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