ライフコーポレーションは上期、人件費比率が15.2%と1.1ポイント上昇した。このほか水道光熱費の急騰があったため通期見通しで営業利益などを下方修正することになったが、あえて戦略的に進めた。しまむらも5.6%という大幅な賃上げを行い、人件費をこの上期で4.7%増やすなど、流通業でも従業員の賃金を引き上げる動きが広がっている。
日本経済の足かせになっているのが四半世紀にわたり下がり続けた労働者の実質賃金だということが認識されるようになっている。人件費を抑制してとりあえず利益を出す手法は、その時、その企業にとってはよくても、広く見れば持続可能性を削る。それでは働き手も集まらない。ようやく修正に動き出した。
さらに、賃上げのあった春以降も諸物価の高騰が止まらない。原材料、エネルギーの値段が上がっているからその価格転嫁は必然で、家計に収入増がなければ消費は冷え込む。ライフコーポレーションの岩崎高治社長は「インフレなので賃上げは必要」とした。購買力を保ち、消費の循環を守ることの必要性はさらに高まっている。ここはまず、冬のボーナスに期待をしたい。
(光)