LGBTQ+(性的少数者)とファッションに関するテーマで、ノンバイナリーの方に取材した際に「〝男性らしさ〟〝女性らしさ〟が人を苦しめたように、〝ジェンダーフリーらしさ〟をつくってはいけない」という言葉をもらった。
ジェンダーフリーを語る際には〝自分らしさ〟が頻繁に取り上げられるが「そのことに違和感を感じる。人はいろんな面を持っている。一面的な〝らしさ〟を強要されることに怖ささえ感じる」と言う。
海外リーグでのプレー経験を持つ現役女子プロサッカー選手は「日本では自分の良いところを100%発揮することよりも、チームが求めていることにどれだけフィットするかで計られる。これはスポーツ分野に限らず日本の社会全体に言えることではないでしょうか。日本は、自分の感情を抑制しながら、組織に合わせることを求められる」と率直に語る。
既存の社会構造や通念に対する違和感を無視して〝らしさ〟を強要することで、個人の特性が委縮し、心が抑圧されている。〝らしさ〟は適応できる一部の人しか救えない。決めつけや固定観念、偏見で判断されない社会に向けて、社会制度やファッションデザインそのものが変わらないといけない。
(民)