《視点》小売りの基本

2022/04/26 06:23 更新


 百貨店が減り続けている。4月に八戸の三春屋が閉店、高島屋立川店も来年、百貨店業を終了する。小田急百貨店新宿店も秋に新宿本館の営業が建て替えのため終了する。現在の業容が新ビルで復活するかは未定だ。

 調べてみると、人口50万人以上の都市では現在、50万人につき1店が存続している計算になる。例えば50万~100万人だと1店(千葉、船橋、新潟、浜松、姫路、北九州、熊本、鹿児島など)に絞り込まれる。中心街の衰退だけが理由ではなさそうだ。

 百貨店がどういう小売業態なのかは一般の人には分かりにくい。商業施設などに就活する学生も百貨店とSCの違いがわからない人が多い。百貨店が一つの小売店とは見えず、仕入れや取引条件、販売スタッフの在り方などが分かりづらいということも要因だろう。

 小売業は仕入れて販売するというのが基本だが、最近では仕入れ型専門店が百貨店の中に店を構え、形の上では商品を仕入れた専門店からさらに百貨店が仕入れるという二重の仕入れになっている。顧客から信頼を得てきた取扱商品への関与や、仕入れへの関与が弱くなっている。小売りの基本から離れるほど百貨店ではなくなるような気がする。

(武)



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