先日、あるゴルフウェアブランドが新入社員を対象に実施したゴルフの実地研修を取材した。同社は経験の有無を問わずに新入社員を店舗に配属するが、ゴルフのイロハやゴルフ場がどんなものかも分からないまま接客するケースがあるという。
研修責任者は「お客様に求められたものを売るだけでは『お伺い』にすぎない。ゴルフの楽しさを知り、お客様との会話を楽しみながら提案しないと店の付加価値を提供できない」と研修の意図を説明した。
これを聞き、スノーピークの優秀店長の取り組みを思い出した。
その店長が徹底していたのは、店のスタッフとともにキャンプに行き、アウトドアマインドを高めることだった。シフトをやり繰りしながら「身内キャンプ」を続け、単に商品を薦めるだけだった接客スタイルを、キャンプライフそのものを提案するものへと変えたのだ。
両アクティビティーとも、それを楽しむには初期費用がかかるが、売り手自身がまずはユーザーにならないと、お客と向き合えないし、共感の輪は広がらない、と改めて感じた。
(潤)