引っ越しに伴い、家電を大量に購入した。何を買うか調べるなかで耳にしたのが、機能をしぼったシンプルな家電が売れているという話。操作がわかりやすく、使いやすいという理由で選ぶ人が多いそうだ。こういったニーズをつかんでいるのは、大手より新興メーカーで、過剰だと思われる機能を引き算し、価格を抑えることで売り上げを伸ばしているという。大手でも、高機能で付加価値を高めるこれまでの商品開発を見直すメーカーが出始めた。
アパレルでも、日本の機能素材や製品はしばしばオーバースペックと言われてきた。しかし、ファッション市場では今、そのスペックが消費者の心をくすぐっている。背景にあるのは、コロナ下で強まった快適に暮らしたいニーズ。キャンプブームで、アウトドアユースのウェアやグッズが浸透したことも追い風だろう。撥水(はっすい)や防水、吸水速乾、ウォッシャブル、防臭機能は、街着でも珍しくなくなった。
そういった機能製品を、日本製や日本のブランドに求める傾向が強まっている。オーバースペックと言われるまでに品質を向上させてきたことが、日本の物作りに対する信頼につながっている。
(侑)