勢いのある新興EC企業のトップ取材で「アパレル業界の組織のあり方が今の時代に合っていない」とよく聞く。数年は販売員としてキャリアを積まないと本部で働けないといった慣習などに疑問を呈し、能力のある人が最適な場所で活躍できるようにするべきだと考えている。ECやDtoC(メーカー直販)と急に叫びだしたところに対しては「デジタルについて何も理解していない社長や部長が大号令をかけるだけでは、事業やサービスは大して伸びない」と冷ややかな目で見ている。
とはいえ、既存のアパレル企業も徐々に変わり始め、ECやデジタル人材が企業のトップに就くケースが増えてきた。デザインTシャツを販売するグラニフは昨年秋、ベイクルーズなどでECを飛躍させてきた村田昭彦氏を新社長に迎えた。また、レディスバッグ「トプカピ」などを手掛けるクリケットウェブは2月1日付で、同社のECを立ち上げ期から成長させてきたEC事業部長の山本貴孝氏を社長に抜擢(ばってき)した。
クリケットウェブの山本氏は「EC軸のビジネスでは、アパレル業界の経験則は通用しない。入社数年目でもベテランより大活躍できる時代だ」と組織の若返りと専門性を高めたポジションを増やす考えだ。
(藤)