《視点》未知と既知のミックス

2020/02/06 06:23 更新


 デジタル関連セミナーを聴講する機会が多いからだろう、最近は〝既聴感〟ある話も多くなった。そんな中で、マーケティングツールを提供するレプロが開いたセミナーで、「顧客との密着度を深めるブランドマーケティング」がテーマのセッションに、DJ・作曲家のダイシダンスさんが話した内容は、ライブ音楽の現場からのマーケティングの話題として新鮮だった。

 世界に何万人といるDJは、ライブで音をミックスし、聴衆を高揚させるのが価値。ただ、彼らが使う音源は約7~8割が他人の曲であるため、素人でもできると感じてしまうが、活躍できる人は少なく、結構差がつく仕事だという。

 その差は何か。いくつかの要素を挙げながら「新曲ばかりでは客が冷める。知っている定番曲ばかりだと飽きられる。場の雰囲気を察するDJは、究極のマーケティング業」という。

 このセッションで伝えたいワードが「体験設計」。自分の経験でも、初めての音よりも、知っている曲が埋め込まれているような音に、驚きと共感を覚える。融合の時代には、商品もマーケティングも未知と既知をくすぐる設計が必要になっている。

(疋)



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