《視点》喜びの共有

2019/09/10 06:23 更新


 SUCO(スコ)というセッションをご存じだろうか。ヨーロッパではやり始めているアクティビティーのことで、ヨガのような瞑想(めいそう)の要素もあるし、クラブで踊るように時間を共にする楽しさもあるため、喜びを共有するセッションと言われている。ヘッドホンをして行うので、ユニークサイレントディスコという呼び名もある。

 私はバルセロナの砂浜で体験した。100人以上がヘッドホンから聞こえるインストラクターの声に促されて、瞑想したり、飛んだり跳ねたり。最初はほとんどが遠巻きに参加していたが、次第に中心に集まり、音楽に合わせて一気に密集してトランス状態に。隣の人と手をつないだりハグしたりすることで、人種や性別、年齢の枠が消えていく。幸せな体験だった。

 スペインの「デシグアル」が企画した。一見、ブランドとは関係のない企画だが、ブランドが大切にするハッピーやエンジョイという感情を見事に体現したもので、多々あるファッションイベントのなかでも、記憶に残るイベントになった。ただ楽しいだけでなく、見知らぬ人と喜びを共有する充実感はこの上ない。コト消費が進むなか、喜びの共有には何かヒントが隠されていそうだ。

(規)



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