《視点》北のスーツ

2018/12/11 06:23 更新


 コスト低減を目指して東南アジアに生産をシフトする紳士スーツ。しかし技術の進歩と同時に人件費の上昇がリスクとなりつつある。ここで目を離せないのが北朝鮮だ。

 核やミサイル実験の強行に対し、国連が制裁措置を取り、日本も輸出入を禁止してきた。16年には量販店が朝鮮総連系企業のスーツの販売を中止していた。ところが今年4月に韓国大統領、6月に米国大統領と北朝鮮トップとの会談が行われ、風向きが大きく変わった。17年4月から実施された「外国為替及び外国貿易法に基づく北朝鮮輸出入禁止措置の延長」は来年4月13日まで。春の訪れとともに雪解けがあるかもしれない。

 北朝鮮のスーツ生産のレベルは概して高いとされる。最近増えているオーダースーツの生産でも日本との距離の近さはメリットになりそうだ。中国の大連や丹東などで北朝鮮の労働者が働く工場からの出荷も再び可能になる。経済的な交流だけでなく、長らく会えていなかった人たちが再会できれば、この上ない朗報となる。

(近)



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