《視点》産地の学校

2018/10/18 06:23 更新


 物作りを通じて国内産地と企業、デザイナーを結ぶ仕事をしているテキスタイルキュレーターが人材育成を行っている。テキスタイルコーディネートを主な事業としている糸編(東京)の宮浦晋哉代表が、その名も「産地の学校」を運営している。17年の東京校からスタートした同校は、今年6月に遠州校をスタート、11月には久留米絣で有名な福岡県八女郡の広川産地でも学校を開く。

 学校では参加する聴講生に対して、繊維・アパレルの専門家を招いた講義と交流を行いながら、産地と物作りへの知識を深めることを目的としている。それと同時に国内繊維産地における現在の課題の明確化や人材のマッチングの他に、各産地が自立して運営可能なプロジェクトを立ち上げることにも挑戦している。

 宮浦氏は「今の若い人たちは国内産地での物作りに興味を持っている」と学校の運営に手応えを感じている。産地企業では高額の給与が支給されるわけではないが、物作りに魅了され産地での就業を望む人も少なくない。「美術大学生の参加も増えている」と言う。これら若い人たちのセンスと、産地の匠(たくみ)の技、日本の素材開発力が三位一体となれば、国内産地が新たな進化を遂げることができる。

(民)



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