《視点》コスパその後

2018/07/04 06:23 更新


 気のせいか、取材先のレディスブランドでコスパ(コストパフォーマンス)というキーワードを聞く機会が減った。商品の販売価格に対して生地や縫製のレベルを上げる努力を続けるのは当たり前だと考えれば、あえて強調する必要もないのかもしれない。

 一方で展示会で多く見るのがリバーシブルや前後着用可能な商品だ。これも1枚で2倍使えるという意味ではコスパは高い。品質を置き去りにするわけではないが、今はどれだけ使えて着回せるかというストレートな訴求の方が分かりやすいのかも。前後着用というだけでは売れないが、少なくとも店頭の接客トークにはなる。

 これと決めた商品を時間をかけてリーズナブルに作り込むよりも、QR生産で臨機応変に対応するムードが広がっていることも、コスパを聞かなくなった理由の一つかもしれない。トレンドの変化はあるが先物買いも減り、次に何が来るかはなかなか読めない。QR回帰で再び同質化という壁にぶつかるのか、あるいは今の流れがしばらく続くのか、注視したい。

(石)



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