企業やブランド、対象としている市場を理解するためには、その店頭と販売員や顧客を見るのが一番だと思っている。2年ほど前から担当しているレディスブランドでは、本社の展示会とデザイナーや営業マンのインタビュー取材しかしたことがなかったが、最近、都内と近郊の二つの店を訪ねる機会があった。それで一気にブランドについての理解が深まった。
店頭で実際にディスプレーや商品に触れ、スタッフと話していると、顧客像とそのニーズが見えてくる。一つの店はちょうどフェアを催していて、何を大切にしているのかも分かった。販売という人と人のつながりが、このブランドと企業を支える柱になっていることが伝わってくる。
もう一つの店では、自身の〝ブランド愛〟をガンガンぶつけてくる販売員と話した。仕事というよりも、愛で商品を説明し、それが売り上げに結びついているようだ。家に100着以上はあるというそのブランドの服の写真を見せられて驚き、2人で笑った。これからは本社での取材も展示会を見る目も、少し違うものになるだろう。(赤)