新しいムーブメントを起こしてくれそうな起業家や経営者を取り上げる連載を担当した。ありがたい反応をいただき、記者冥利(みょうり)に尽きる。何がうれしいって、若者の挑戦を応援するムードを感じたことだ。
取材したのはみな35歳以下。半数以上はファッション業界外の出身だ。アパレル不況なんて言葉は、彼らにとってはどこ吹く風。業界に染まっていない柔らかい思考で、新風を吹き込んでいる。流れを変えるには、時に従来とは異なる角度から物事を見ることも大切だ。
若手は経験値は低いかもしれないが、エネルギーに満ちている。その力は新しいモノを作り出すエンジンとなる。以前、取材した大手企業社長の言葉「振り返ると、いつも新しいファッションの動きを作ってきたのは30代だった。今は若手が成長する機会が減り、失敗するチャンスもない。業界全体が面白くなくなってしまう」が耳に残る。
この春、ファッション業界も多くの新人を迎えた。彼らのみずみずしい発想に期待するとともに、業界全体で若い人が活躍できる環境を作っていけたらと思う。(佐)