近年、アメリカ各地で商店街(メインストリート)や中心市街地(ダウンタウン)が静かに活気を取り戻しつつある。かつて郊外型ショッピングセンターに人の流れを奪われ、空き店舗が増え、衰退の象徴と語られてきた場所だ。しかし今、その同じ場所が地域生活の舞台として再び息を吹き返している。
(ビーエーシー・アーバンプロジェクト代表取締役 矢木達也)
時計の針戻す修復
ミシガン州のとある田舎町を訪れた。夕方のメインストリートに足を踏み入れると、人口1万人ほどの町とは思えない人の気配があった。公園のベンチでは老夫婦がくつろぎ、パブの前では父親が仕事帰りにビールを傾け、少年がサッカーボールを抱えて駆け寄ってくる。統一された色調のプランターが並び、修復された建物と人々の営みが織りなす光景には、どこか古き良き時代の懐かしさがあった。
観光地でもない、特別な名所があるわけでもない。それでも人々は街に繰り出し、語り合い、思い思いの時間を過ごしている。そんな自然体の姿に、私は強く引き込まれた。
