UAゼンセンは6月10日、参議院議員会館で「カスタマーハラスメント実態調査緊急報告集会」を開いた。国会議員に参加を呼びかけ、カスタマーハラスメント(カスハラ)の実態調査の結果を報告するとともにその防止に向け「法整備の必要性を訴えたい」(松浦昭彦会長)とした。
【関連記事】カスハラ対策が急務 従業員保護に動く百貨店、総合アパレルは個別対応にとどまる
UAゼンセンでは1~3月、接客サービスに携わる組合員を対象に、カスハラの実態調査を行い、3万3133人から回答を得た。報告によると46.8%が直近2年以内にカスハラの被害にあったという。前回20年調査時と比べ10ポイント減少しており、カスハラに対する認知の広がりや労使の取り組みの進展がうかがえつつも、引き続き約半数が被害にあっている深刻な実態が浮き彫りになった。
集会では併せて専門家(桐生正幸東洋大学社会学部教授、島田恭子ココロバランス研究所代表理事)による調査結果の分析が示された。それによるとカスハラの内容・特徴がGMS(総合小売業)や専門店といった業種ごとに四つに分類できることや、その有無がストレスやワークエンゲージメント(仕事に対して充実している心理状態)に深く関わることが明らかにされた。
UAゼンセンはこれらを踏まえ早急な対策が必要としており、啓発・防止に向けたカスハラの定義化、所管府省庁の支援強化、労使及び有識者などによる協議会の設置とともに、事業主に被害を防止するための対策を義務づける法制化を求めている。
集会には代理も含め65人の国会議員が参加、全体で120人が集まった。