蝶理は21日、金沢市内で記者会見し、石川県産の生地を「石川FABRICS」(仮称)としてブランド化していく方針を明らかにした。
会見に先立ち、先濱一夫社長ら蝶理首脳と産地企業で作る北陸蝶理会幹部は、石川県庁に谷本正憲知事を表敬訪問、会談した。この中で、谷本知事は「アパレル製品に石川県生地のブランドタグが付くことは良いことだ。アパレルも素材に目を向けるようになる。蝶理には大いに川中の製品(生地)をPRして欲しい」と述べた。
記者会見で先濱蝶理社長は、「蝶理にとって北陸産地はなくてはならない一番の財産」とし、「繊維産業はグローバルにみると成長産業。石川産地の匠の技術でできた商品をブランディングしていく出口戦略で差別化された確固たる地位を築いていきたい」と語った。
石川県内での製造工程が「1工程か2工程以上なのか」など石川FABRICSの認定基準や認証機関、用途分野、ターゲットとなる数値目標、参加企業数などはまだ確定しておらず、8月5日に開く「石川FABRICSブランド化推進プロジェクト立ち上げ会」を皮切りに細部の検討を行うことになる。
すでに大手スポーツウエアメーカーとは取り組みを先行させており、16年春夏物からゴルフウエアのポロシャツとレインウエアでブランドタグを付けた商品の販売を行う予定。
蝶理では「欧州の高級ブランドのトップゾーンの商品に石川県産の生地が使われており、欧州の大手スポーツメーカーが石川県の生地を名指しで指名してくるが、国内の消費者には、石川の素材の知名度や認識が薄い。ブランド化を通じて、消費者によりわかりやすく石川の生地の魅力を広げたい」(吉田周史執行役員北陸支店長)としている。
蝶理の北陸産地との取引額は14年度実績で252億円。この半分を石川県が占める。15年度はこれを270億円に拡大する方針。石川県での生地ブランド化を皮切りに、他産地へも素材のブランディングを広げる考えだ。