金沢市の中心街で20年以上営業を続けるメンズセレクトショップ「トランジスター」(オーバーチュア)の小林裕貴代表はリアルな空間での購買体験を大切にしている。来店してくれる常連客を第一に考え、この間も店頭スタッフを増強した。自身も「接客が楽しいので店頭に立ち続けたい」という。
顧客とのコミュニケーションを大事にしてきた結果、コロナ下でも売り上げを伸ばし続けた。「昨年は地元客がレジャーに出かける際、当店で買った服を着て行ったり、県外客が旅行ついでに服を買っていったり」するのが目立った。接客では「小さなことでも気づけるかが大事」だという。例えば、フラッと来店した客に、その日の気分で満足する一着に導くのが店頭スタッフの役割。
新規客にも接客でブランドの熱量を伝えられる。来店さえしてくれれば、必ずつながりは作れる。一方、SNSやウェブサイトは海外にも発信でき、「集客手段として大切」と考える。最近では動画の発信に力を入れている。
小林代表は新しいブランドの開拓に意欲的だ。他店がまだ注目していない有望なブランドを一早く見つけるため、常にアンテナを張って探している。関心があるブランドは東京での展示会に訪れ、仕入れるかどうかを吟味する。「導入した新規ブランドは店頭でしっかり魅力を伝え、成長を後押ししたい」という。テイストやジャンルを超えた品揃えが特徴で自由な着こなしを発信できるのが強みだ。