東レの100%植物由来のポリエステルが初の製品化、全日空機に採用

2022/10/14 06:27 更新


11月就航の特別塗装機「ANAグリーンジェット」のヘッドレストカバーに採用

 東レは100%植物由来原料で作られたポリエステル繊維の製品を初めて商品化した。人工皮革「ウルトラスエード」基布表面の極細繊維に使用した銀面調人工皮革「ウルトラスエード・ヌー」で、全日空の特別機のヘッドレストカバーに採用された。東レは11年にポリエステル原料のエチレングリコール(EG)と、テレフタル酸いずれも植物由来で作られた100%バイオベースポリエステルの繊維での試作に成功している。20年代の早いうちの商業生産を目指し、まずはEGを植物由来に置き換えた30%植物由来のポリエステル「エコディアPET」の販売を先行させてきた。

 ウルトラスエード・ヌーに100%植物由来ポリエステルを使用。サトウキビ廃糖蜜から製造したEGと、トウモロコシ由来のコーンスターチなどから製造したテレフタル酸ジメチル(DMT)を原料にした。ウルトラスエード・ヌーの基材は、中間のスクリムを不織布がはさむ構造で、不織布内部に弾力性を持たせるポリウレタンを含浸、表面の極細繊維部分に100%植物由来ポリエステルを使用した。スクリムには30%植物由来ポリエステル、含浸するポリウレタンも30%植物由来の樹脂を使い、生地全体の植物由来比率は約64%になる。

 全日空機への採用は、11月就航予定の特別塗装機「ANAグリーンジェット」で使われる。ウルトラスエードシリーズでは重量比の植物由来原料の比率が15~17%の「ウルトラスエードPX」を15年に、同30%の「ウルトラスエードBX」を18年に開発している。



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