「トモウミ・オノ」(小野智海)は20~21年秋冬で、以前からブランドのファンの要望があったメンズのコレクションを発表した。レディスと同じく、端正なカッティングによる、くっきりきれいなフォルムが特徴だ。タイムレスに着られる大人の日常着に仕上がっている。
スイス空軍が使っていた生地で作ったステンカラーコート、防水加工したラムレザーのシングルライダーズジャケット、60年代のフランス軍のモーターサイクルコートを独自に復元…。メンズらしいうんちくもありながら、すっきりリアルに作った。ステンカラーコートは前はセットインスリーブで後ろはラグラン、モーターサイクルコートはウォーターボトルバッグなどを留められるタブ付き。ディテールでさりげなく変化を付けている。
シャツは比翼とカフスにサテンのラインを入れたり、色を切り替えたり。展示会で好評だった。
レディスは今回、日本の古くからの風習を元にしたアイデアが二つある。信州に昔からある背中を暖めるための〝南木曽(なぎそ)ねこ〟をアレンジしたジレは、体の前でも後ろでもリボンベルトを結べるので自由にコーディネートに使える。実際、暖かそうだ。また、かつて小さな子供のきものの背中に、魔よけなどの意味で付けていたという〝背守り〟のように、ブラウスの背中には襟から腰あたりまでの長いテープが垂れる。
今年っぽいストレートシルエットのスカートは、両サイドがファスナーで完全に外れ、別のスカートと前後を変えて楽しむことができる。そのほか、サイドスリット入りのロングパーカ、コートドレス、アームホールにギャザーを入れて袖をケープのような作りにしたトレンチコートなど。いつも出しているGジャンは、袖を異素材にして前に湾曲させた形。