【記者の目】地方・郊外百貨店の活性化策を探る

2019/11/03 06:28 更新会員限定


【記者の目】地方・郊外百貨店の店舗活性化策 集客力向上のため先行投資を “地域資産”の見直しも

 地方や郊外都市の百貨店の閉鎖が続いている。8月に大沼米沢店、大和高岡店が閉店し、9月は伊勢丹の相模原店と府中店が閉店する。来年1月には天満屋広島アルパーク店、同3月に新潟三越が閉店することを発表した。いずれも営業赤字から脱却できなかったことが要因だ。地方・郊外百貨店を取り巻く環境の厳しさは今後も続くだろう。それでも、増収基調に転じている百貨店がある。こうした百貨店の取り組みを中心に活性化策を探る。

(吉田勧=西日本編集部流通担当)

継続的な改装投資

 担当している関西、中国・四国、北陸の百貨店でみると、18年度売上高が増収だった地方・郊外店は、2期連続増収のいよてつ高島屋(松山)と近鉄百貨店奈良店、全部門増収の山陽百貨店(姫路)、5期連続増収の米子しんまち天満屋(米子)、21年ぶりに増収となった大和香林坊店(金沢)などがある。

 これらの店舗に共通するのは、「新規客層の獲得」「来店頻度の向上」「買い回り性を高める」など、目的を明確にした改装投資を継続していること。来店頻度の向上策としては、デイリー性とギフト需要の双方の食料品の見直しにより「まずは足元を固める」百貨店が多い。新規客層の獲得策では、ほとんどの百貨店が好調な化粧品を強化している。20~30代女性の獲得が最大の狙いで、メイク・スキンケア双方の取り扱いブランド数を大幅に増やして、売り上げとともに顧客層の拡大に結びつけている。大和香林坊店は「北陸ナンバーワンの化粧品にさらに磨きをかける。新規客層を獲得できており、上層階につなげていく売り場改装を仕掛けていく」方針だ。

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