ここ数年、ファッション関連で起業する若者が減ったなあという印象を持っていました。大手企業がニッチな市場まで参入する時代ですし、全体の環境は良くないので成功への道がイメージしにくいという問題もあるでしょう。
そんな中、増えているのが主婦の企業。子育てだけでは満足できない、かといってパートなど勤めにも出にくい、出たくない、といったママたちです。
自宅で子供を見ながらできる仕事となると、手作りアクセサリーなどのネット通販、グルーデコやポーセラーツのサロンということになります。
最近は『ヴエリィ』の「タグヴェリィ」など子育てと起業に関するSNSもあり、情報交換の場となっています。ネット環境が整い、ブログやSNSを自由に使える時代だからこその起業というわけです。
この間、関西在住の起業ママで構成する団体「ルミエンヌ」が神戸でイベントを開きました。9ショップ、7サロンが出店、普段なかなか会えない顧客との交流、新規客の獲得などが狙い。
当日はベビーカーで来場する女性が目立ち、盛況でした。イベントは単に販売、顧客増が目的ではなく、「起業したいけど方法がわからない」女性に激励とアドバイスを送るという狙いもあります。
起業ママに話しを聞くと、きっかけは共通しています。子育てやパート勤めが嫌というのではなく、育児も仕事も自分のことも一生懸命やりたいということ。人として女性としてキラキラしていたいという気持ちを抑えられないという感じです。
女性が社会で生きていくには、かつて様々な障害がありました。男女平等の法律も整備はされてきましたが、日本の男女平等ランキングは相当下のほう。今でも女性ならではのハンデはあります。
女性が起業する背景には、働く環境が整備されていないという問題が横たわっています。こうしたことを跳ね除けようとする女性の力はますます強まっていくし、社会や経済のあり方も変えていくことになるでしょう。
古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介