兵庫県の南西部、たつの市は醤油、素麺の産地として知られます。
素麺では「揖保乃糸」が著名です。この麺にはランク付けがあり、赤帯を巻いたものがスーパーでよく売っている「上級」、黒帯が「特級」で、食べると違いがよくわかります。
さらにその上に「三神」という特別ランクの素麺があります。たつの市でもごくわずかな職人しか作れない、極細で腰の強い逸品です。先日、ご馳走していただき、なるほどと思ったわけです。
たつの市のもう一つの重要な地場産業が皮革です。
皮のなめしという点では、近隣の姫路とともに、日本最大の規模を誇ります。革好きの人は姫路が産地であることは知っていても、たつの市のことまで知っている人は多くありません。業界でも姫路とたつの市をごっちゃにしている人は少なからずいます。
たつの市で代表的なタンナー(なめし業者)の工場を見せてもらいました。タンナーとしてはかなり大きな規模で、原皮の洗いからの一貫製造です。
通常、タンナーの工場は60歳以上の職人がほとんどですが、ここは20,30代ばかりで、意識的に若い人を採用しているとのことでした。そこの社長はこういいます。
「日本とイタリアの革の違いはと聞かれるが、私は一緒やと答えます。ただ、時間をかければ日本人は世界最高のものを作れます。細やかで質のいいものつくらせたらナンバーワンや。ただ、商売となると、それだけ時間かけてもいいですか、となる」と言います。
革だけではありません。上質なものを作ろうとすれば、時間がかかるのは当たり前。それを組み入れる形でのブランド開発が進めばなあと思います。
たつの市では11月16、17日に「皮革まつり」が開かれます。
年々来場者が増え、にぎわっています。皮革即売会、ファッションショー、革小物のワークショップなとがあり、ゲストはベストレザーニストの俳優・渡部豪太さん、石田純一さんのお嬢さん、すみれさん。私も参加してこようと思ってます。
古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介