防水透湿テキスタイルや合成皮革素材などを開発、製造する東レコーテックス(京都市、鈴木一弘社長)は、環境配慮型の素材開発をさらに強化し、日欧米の顧客に拡販する。
同社はアクリル、ポリウレタンの樹脂を自社重合から開発でき、ポリウレタンの微多孔制御技術により特徴ある商品を開発、量産している。同社の強みである防水透湿テキスタイルは日欧米のスポーツ・アウトドアアパレルへ、合成皮革素材はスポーツ手袋メーカーへ供給している。
スポーツ・アウトドア用途では、コロナ禍鎮静化後の需要が一巡し、受注も落ち着いた。防水透湿テキスタイルは日米向けが堅調な一方、欧州向けが弱いという。合成皮革素材は、動物愛護の観点で見直されており好評だ。
製品の縫い目からの漏水を防ぐシームテープは、国内で「圧倒的シェアを占め」、好調だ。海外でも売り上げが伸びている。アウトドアウェアなどに採用されている。安心して使えるよう、接着条件や洗濯耐久性など事前に説明して縫製時の接着トラブルを防ぎ、顧客との信頼を強めた。
環境配慮型商品の開発は、今後も強化する。植物由来のコーティング材料の使用や、耐久性に優れたコーティングの開発、完全非フッ素化を進める。
今期(24年3月期)の売上高は前期並みを見込む。前期から続くコスト高は落ち着きつつあるものの、電子デバイス向けやスポーツ衣料が一時期ほどの勢いがなく「厳しい一年になる」(鈴木社長)と予想。下期は一層の経費削減と共に、高付加価値品の開発で顧客との関係強化を目指す。