畳店の五代目が描く可能性 〝畳はテキスタイル〟

2020/10/19 06:27 更新


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 日本固有の伝統的な生活文化で1300年の歴史がある畳。生活様式の洋風化によって畳を敷く間が住宅から激減し、畳店も減ってきた。畳店の5代目で、畳をパーツに分解して組み立てたアートやインテリア向けの新たな商品として紹介しているのが山田一畳店の山田憲司さんだ。

(浅岡達夫)

 畳は経糸に綿糸や麻糸、緯糸にイグサを挿入した織物「ゴザ」を表地として、わらやウレタン材でできた芯材に縫い付けた床材だ。イグサに芯材という構造は1300年変わらず、高温多湿の日本に適した住居材として使われてきた。

和室減り畳店は激減

 ゴザ作りはかつては農家の副業として営まれ、現在ではイグサの生産農家が織機を置いてゴザまでの一貫製造を行っている。グローバル化の進展に伴って、畳に使うゴザは中国からの輸入品が急増。現在は20%が国産で、そのほとんどが熊本県産だ。

 一方で住居の洋風化によって畳の間はフローリングなどに替わり、畳間のない住居も当たり前になってきた。このため、どの町にもあった畳店は急減している。

 岐阜県羽島市の山田一畳店は1869年創業。山田さんは37歳。東京の建築系大学を卒業して住宅業界に進んだ。「畳店の後を継ぐ気はなかった」山田さんが家業を継ぐきっかけになったのが、「友人から頼まれて軽自動車の内部に畳を敷き詰めた」こと。住宅会社を辞めて実家のある羽島市に戻り、建築ソフト会社を起業する準備をしていた時だったが、「畳には面白さがある。新しい市場を切り開ける」と考え、17年に家業を継いだ。

 18年には畳を三角形のパーツに分けてそれを組み合わせる新しい床材を開発。全国の建築家にメールなどで提案し、18、19年の2年間で20件の新規契約を獲得した。

六角形の畳ブロックで新たな床材も開発した山田さん

インテリアやアート

 次に取り組んだのがインテリアにもなる「アート畳」。形の異なったいくつかのパーツを作り、それをパズルのように組み合わせて竜を表現した。

 「目の向きが異なるイグサ地は、光の反射の違いによって色の濃淡が変わる。この濃淡によって竜を表現した。竜は見る角度によって違った形に変化する」。これが評判となり「畳という部材に可能性を見いだした」。

 また「畳の表地はテキスタイルと全く同じ。イグサの代わりの緯糸に和紙を使った製品もある。いろいろな繊維を使うこともできる」。

 建築用の床材として紹介するだけでなく、アートやインテリア作品としても「個性を表現できる」とする。山田さんは羽島市から日本の伝統を次世代に継承する「はしマスター」にも認定された。

 コロナ禍で春に予定していた合同展を中止したが、個展を12月に東京で開く。

 8月には米国から発注もあった。「畳は韓国にも中国にもない日本固有のもの。世界に発信できる競争力がある」。22年からは海外に向けての販売を計画している。

アート畳のパーツを組み合わせて竜を表現した畳間

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