ファッション系サークルや学生団体に所属する多くの学生は「服が好き」な人たちだ。〝好き〟を生かしてファッション業界に就職したいという学生は一定数いる。ただ、業界イメージなどを聞くと、労働環境や給与、成長性を懸念する声が多かった。
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半数以上が〝働きたい〟
アンケートの「ファッション業界に対して持っているイメージ」(自由記述式)は「華やか」「人の心を豊かにする」「人を幸せにできる」といったプラスイメージがある一方で、「低賃金」が8件と多く、「ブラック」「激務」など労働環境のマイナスイメージが強い。「環境負荷が大きい」は2件あった。
「将来はファッション業界で働きたいか」に「強くそう思う」「候補の一つとしてそう思う」と答えたのは42人中22人と半数以上いた。「ファッションが好きだから」「クリエイティブな仕事をしたいから」という理由が多く、〝好き〟を仕事にしたい学生は多い。
「ファッション業界で興味がある職種」は「マーケティング」「企画」「バイヤー」が人気。一方で、「デザイナー・パタンナー」「物作りに関わる職人」もいた。ただ、専門知識や技術が必要とされる職種は、未経験者よりも即戦力となる人材が優先される状況でもある。「技術職は四大ではなく専門学校を卒業することが前提になる」「四大生が就職できるのか全く想像つかない」などの回答があった。「もっといろんなルートからファッション業界で働く方法を情報提供して欲しい」という声もあり、四大生が就職できる選択肢や条件などの情報を得られる環境が求められている。
ギャップを不安視
「ファッション業界への就職に関して不安や懸念点がある場合、具体的に何か」(自由記述式)は「給与」や「労働条件」が多かった。「働くにあたって様々な理想と現実のギャップを感じそう」という回答もあり、「華やかさの裏にある競争の激しさ」「ノルマの厳しさ」に不安を感じている。
さらに、「海外で働きたい場合、どこから始めるのか、どうキャリア形成をしていくのかわからず不安」というキャリアパスの見えにくさもあるほか、業界の成長性も懸念材料だ。「斜陽産業で成長性がない」「不安定」という声もあった。
学生にとって、将来の就職先は、ワークライフバランスや業界の成長性が必須条件だ。企業の中には働きやすい環境整備を進め、初任給を引き上げるなどの動きもある。人手不足が加速する中で、服好きの学生はファッション業界に関わる可能性の高い人材だ。そのような学生に見放されないためにも、各社の企業努力はもちろん、業界全体のイメージアップが重要になっている。
(おわり)
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