【奮闘する国内工場】縫製業・ニッター調査から㊥

2019/08/12 06:29 更新


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 縫製工場やニッターはOEM(相手先ブランドによる生産)が主力だが、自社でファクトリーブランドを立ち上げるなど、新規事業に挑戦するところも増えている。

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■OEM事業を補完

 アンケートによると、「3年以内に着手した新規事業」については、「した」が33%、「今後、予定している」23%、「しない」43%という結果だった。新規事業を実施した企業の規模は「10~49人」が39%と一番多く、「50~99人」31%、「100人以上」26%、「1~9人」4%と続く。規模が大きい工場は生産量も多いため、アパレルメーカーなどから安定的に一定量の受注があるため、OEMに特化しているところが多い。逆に規模が小さくなると不安定なOEM事業を補完する意味でも、ファクトリーブランド開発など新規事業に踏み出すところもある。

 新規事業の中身としては、縫製業・ニッターともに今まで培ってきた技術を生かして、自社でファクトリーブランドを開発するところが圧倒的に多い。ファクトリーブランドも、既存の領域とは異なる新ブランドを立ち上げたり、レディスからスタートしたブランドがメンズラインや生活雑貨を加えるなど、さらに拡大を図る事例も出ている。

 ファクトリーブランド以外では「国内外の素材メーカーから調達した生地と、新たに開発した独自企画の生地を集めたバンチブック(生地見本帳)を中心とした生地卸売りを16年から開始。17年から修理事業を拡大。そのために社内で人材を確保し、技術の継承を行っている」(紳士オーダースーツ工場)をはじめ、「海外進出の足掛かりと位置付け、イタリアなど海外ブランドとの取り組みをスタート」(カットソー縫製)、「3DのCAD(コンピューターによる設計)によるパーソナルオーダーの推進」(ニッター)などが象徴的だ。また、「工場内のネットワーク化とできる限りのIoT(モノのインターネット)化の取り組みを事業化する」など、デジタル技術の進化による業界全体のネットワーク化を見据えた動きもある。

■直接つながる時代

 アンケート結果では、ファクトリーブランドが「ある」53%、「ない」46%。ファクトリーブランドがある企業の規模は、「10~49人」35%、「100人以上」30%、「50~99人」24%、「1~9人」11%。ファクトリーブランドの開発は工場にとって、閑散期対策、収益性の向上、社員のモチベーションアップ、今まで培ってきた技術を高めるなどの役割が大きいと見られる。

 会社の知名度が向上することで、地方の工場であっても新卒採用で効果を上げた例もある。今はSNSやECなどで直接、一般消費者とつながれる時代なので、小規模な工場でもファン作りが容易になったことも開発を後押ししている。

 ある縫製工場は「良品を納期通りに納品するという当たり前のことだけでは通用しない時代。自社ブランドを通して一般消費者だけでなく、アパレルメーカーや小売業にも新しい価値を提供していくべき。自社のブランディングを推進してきた結果、大手企業との協業企画などの取り組みの相談も増えており、BtoC(企業対消費者取引)やDtoC(直営店、EC)のビジネスモデルだけでなく、新しい形のBtoB(企業間取引)によって、まとまった生産量を確保できる可能性も出てきた」と新たな効果に期待する。

(つづく/繊研新聞本紙19年7月11日付)


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