【レディス特集】有力企業の取り組み 顧客とのつながり強化

2020/08/28 05:59 更新


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 コロナ禍でECやSNSの活用がますます欠かせなくなった。一方で、在宅時間が増え、好きな場所に行ったり、人に会ったりする自由が制限されている今、「やっぱり実店舗での買い物って良いよね」という気分が改めて高まっている。デジタルツールで実店舗や販売員の魅力を伝えることで、顧客とのつながりをより強固なものにし、来店のきっかけにもつながっている。

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ショップに聞いた取り組み

◆ライブ配信を活用 (ベイクルーズグループ「プラージュ」)

 休業期間中のSNSを活用した取り組みで客の心をつかんでいる。店舗の休業や新型コロナの流行で、服を買うことのマインドが離れていく中、見るだけでもファッションが楽しくなるコンテンツを発信しようと考えたのが「ショップクルーズ」だ。

 ショップクルーズは、インスタグラムのライブ配信を店の中で行い、販売員と一緒に買い物をしている気分を味わうことが出来るもの。実際に配信を見た人からのコメントでは「店内にいる気分になった」という声が多かった。

 紹介した商品だけでなく「ショップクルーズで映っていたあの商品なんですか?」と配信を見た客からの問い合わせもあり、店に足を運ぶことが難しい人も店の空気感を味わえると好評だ。SNSを通じてブランドを知り、営業再開後に来店してくれた客もいたという。

 ほかにも、店での接客のようにスタイリングするだけではなく着こなしの仕方を見せた。手持ちのアイテムで同じような物を持っていればこんな風に合わせて着られるといった、服を着るときのヒントになるような配信もした。「ファッションの楽しさを思い出して欲しいと考えて取り組んだ」

 今後も、SNSを活用した発信を継続しながら、店ではこれから入荷する商品を先見せすることにより、客のモチベーションが上がる取り組みも予定している。

「プラージュ」 店で買い物をしているような気分になれるライブ配信が受けた

◆フリートークを向上 (ローズバッド「ローズバッド」)

 コロナ禍でも来店してくれる客の「実物を見たい」「スタッフと話したい」「気分転換したい」といった気持ちに応えるため、以前から行っていた接客力の強化に向けたトレーニングを引き続き実施している。

 内容はこれまで商品知識に特化したものが多かったが、フリートークの向上を目指す店も増えてきた。

 具体的には、週ごとに旬な話題をテーマにし、スタッフ役と客役に分かれてロールプレイングをしている店が多い。こうした取り組みの結果として売り上げにつなげたいと考えるが、「お客様がせっかく足を運んでくれたからには、店での時間を楽しんでもらおう」といった目的意識がより強まっている。

 店頭に足を運べない状況下で「ECやSNSの活用も今まで以上に求められていると痛感」し、デジタルの分野にも力を入れて顧客接点を広げている。

 ECシステム開発のバニッシュ・スタンダードが運営する販売員コーディネートアプリ「スタッフスタート」を導入したり、店舗ごとのインスタグラムアカウントでの情報発信を強化したりしている。スタッフスタートは本部のEC担当、インスタグラムはプレス担当がそれぞれ着用商品の指定や撮影方法のアドバイスを行っている。

 ECでは販売員が多く着用した商品がモデル画像のみを掲載したものよりも良く動いているという。店舗ごとのインスタグラムではブランドの公式アカウントとタイミングを合わせて同じ商品の情報を発信することで「フォロワーである客の目に留まりやすくなる」と考える。インスタグラムを見て店に足を運ぶ客も多く、実店舗との相乗効果も出ている。

「ローズバッド」 販売員が着用したアイテムはECでよく動いている

《Focus》ウェアーズ

すごく好きになってもらうきっかけ作り

 ヤングレディスブランド「ダブルクローゼット」を運営するウェアーズは、店の価値や接客の意味を改めて販売員に伝えている。

 店の営業が再開してから販売員がマスクを着けること、ある程度距離を保って接客することが当たり前になったが「離れて接客しても心は近いと思うように伝えている」と花井千春販売部長は話す。数年前からマスクを着け、目から伝わる笑顔の練習をしていたことが役立った。

 ECと違い、店だから出来ることは無形のサービスの提供だ。物を売るという意味では同じだが、わざわざ来て買い物をする理由は店の空気感や演出の仕方などにあると考えている。

 SNSやECを通して24時間いつでもブランドを見てもらい、店ではすごく好きになってもらうためのきっかけ作りをする。「物理的に近づくことが難しくても、人と人との心のふれあいが大事で、来てよかった、行って良かったと思える空間を演出するためにも店舗は大切」だという。販売員にとっても、SNSを見て会いに来てくれる客がいたり、着用している服が欲しいと言ってもらえたりすることが、喜びややりがいにつながっている。なかなか来店出来ない客のためにインスタグラムのライブ配信も増やしている。人気のある販売員や花井部長が登場し、新商品やノベルティーなどを紹介している。紹介した商品や着用していたものは、次の日にはECの売り上げトップ3になるほど反響が大きい。

 20~21年秋冬も引き続き、ウェアーズらしい個性のある服を企画した。ハッピーな色や柄をいつもより充実し、明るく、楽しくなれるようなファッションを提案する。

ウェアーズらしい、個性のあるにぎやかな商品を20~21年秋冬も企画した

《Brand News》マッシュスタイルラボ「スナイデルホーム」

家での時間を充実させる

 マッシュスタイルラボは新ブランド「スナイデルホーム」を9月にスタートする。コンセプトは「着るほどに、きれいになる」。美容成分を配合した素材を使い、女性をきれいに見せる部屋着や家ナカ時間を快適に過ごすための商品を企画した。

 ウェアは快適さと体のラインが女性らしく見えるデザインの両立を目指す。オーガニックコットンにアルガンオイル加工したガーゼのドレスは、柔らかく吸水性があり、着るとドレープがきれいに出る。

 シアバターを配合したトリアセテートのサテンセットアップは、ビンテージ調プリントを施し、パンツのドローコードに房飾りを付けるなど、ディテールにもこだわる。ルームシューズやナイトブラ、着圧ソックスなどもある。

 9月からECやライブコマースで販売し、期間限定店も出す。21年春から「スナイデル」の実店舗で販売し、旗艦店も出す予定だ。SNSを使って商品情報だけでなくインテリアやルームコーディネートの情報も発信し、家でもきれいでいたいという女性の気持ちに寄り添い、ファンを増やす考えだ。

今年らしい大きめのシュシュなど小物も豊富だ

《New Open》ニュウマン横浜

大人の女性をターゲットに 上質、高感度なファッションを提案

 ルミネはJR横浜駅西口直結の大型複合施設「JR横浜タワー」内に新施設「ニュウマン横浜」を開業した。ニュウマンは30~40代を中心とした「高感度で、自分の価値観を持つ大人の女性」をターゲットにした業態で、16年3月にJR新宿駅新南口に開業したニュウマン新宿に続く2施設目。新型コロナウイルス感染予防のため、施設としての販促を実施していない中で、売り上げは「まずまずの状況」(前田純子ニュウマン横浜店副店長兼営業部長)だ。

 施設は地上1~10階で、店舗面積は約1万3000平方メートル。テナントは期間限定店を含めて115店で、新業態を23店、商業施設内初出店を7店、横浜エリア初出店を53店入れた。期間限定5区画を除く110店のうち、ファッション・服飾雑貨42店、飲食・カフェ・食物販28店、コスメ15店、ライフスタイル雑貨17店、サービス業種8店。ニュウマン新宿に比べて全体の店舗面積が大きいため、衣料品以外の業種を充実し、「大人に向けたライフスタイル提案」を一段と強めた。アートディレクターを起用して、ゆったりとした共用部を作るとともに、各店の面積も大きめにするなどして、「ショップの世界を出し、リアルならではの滞在価値も高めた」という。

 ファッション・服飾雑貨はニュウマン新宿に入る店舗を含め、上質かつ高感度で、単価も高い日本のセレクトショップを充実するとともに、「グッチ」「ティファニー」「バレンシアガ」などルミネとして初めて海外ラグジュアリーブランドを導入、レディスオーダースーツ・オーダーシューズの「カシヤマ」、レディス「ベイジ,」を中心にジャケットを軸にしたブランドを入れるなどMDの幅を広げた。新宿に比べて、レディス・メンズ複合店を増やした。

 施設全体として、足元商圏客が多く来館、売り上げは人気店を数多く誘致した飲食やコスメが特に好調だ。ファッション・服飾雑貨は「難しい時期のオープンだっただけに、全体としてこれから売り上げを作る段階」だが、レディス・メンズ「エストネーション」「A.P.C.」、レディス「カオス」などが好調で、海外ラグジュアリーも「小物雑貨を中心にブランドにとって新規客をつかみ順調」だ。エストネーションはメゾネット型で、衣料品と雑貨を軸に「ライフスタイルがしっかり提案している」ことに加え、きめ細かく期間限定商品を入れ替え、鮮度を出していることが好調要因。カオスは「VMDで新商品を明確に打ち出し、接客力も高い」という。

 ファッション全体として、30~40代を中心に「狙い通り、ファッション感度が高いお客は来ており、プロパー品も売れている」。当面は集客のための販促ができないが、「各店で再来店を促す接客を強化し、顧客作りを地道に進める」方針だ。

3階の「カオス」はVMDで新商品をしっかり打ち出し、顧客を獲得している

《New Shop》

 注目の新店が続々オープンしている。内装や空間の演出にこだわることで、買い物だけはなく、店にいること自体を楽しめるようなこだわりが詰め込まれている。

◆落ち着いて買い物楽しむ 「ロエフ」(ユナイテッドアローズ)

 東京・六本木の東京ミッドタウンに1号店をオープンした。店は老若男女問わず楽しめる美術館や博物館をイメージし、ゆったりと買い物できる空間に仕上げた。

 鈴木里香ディレクターの「肩肘張らずに気軽に来られる場所にしたい」という思いを込めた。座りやすいベンチや床のカラーリング、商品が見栄えするライティングにもこだわっている。品揃えはオリジナルのレディス、メンズの商品と仕入れのバッグやアクセサリーなど。「ロエフの服が好きな人に向けて紹介したいもの、知ってもらいたいもの」を集積している。

置いてある商品一つひとつが主役に見える店にした

◆旅に来たような異空間 「イウエン・マトフ」(ユナイテッドアローズ)

 ニュウマン横浜に1号店をオープンした。これまではユナイテッドアローズのレーベルの一つとして販売してきたが、コレクションの全てを販売する。

 空間演出にこだわり、服を際立たせている。床は石畳のようにし、石で作ったレジカウンターは、直線で重厚感を出した。ラックや鏡には曲線を取り入れ、重厚な空間にブランドらしい女っぽさも感じさせる。窓にはすりガラスを使い、外の光が差し込むようにした。商品はオリジナルのウェアのほか、花器や小物といった仕入れの商品もある。

重厚感のあるレジカウンターに曲線を描くラックや鏡で女っぽさを感じさせる

◆ファッション×ファクトリー 「メゾンスペシャル」(メゾンスペシャル)

 ニュウマン横浜の新店は「リノベーションファクトリー」を内装のコンセプトにし、建材やコンクリートブロックを使った。バックルームやレジカウンターを店の中央に設置し、窓からテラスが見えるようにした。オープン時には、横浜店限定商品も販売した。

 同フロアにメンズの店もあり、メンズ、ウィメンズ共に好調だ。人気があるのはマルチウェーの商品。ブランドスタート時から何通りもの着方が出来る服を企画しており、顧客に定着してきた。今秋冬も継続して、マルチウェーのトップやアウターを企画している。

隣接したテラスから日が差し込むようになっている

(繊研新聞本紙20年8月26日付)


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