「シンヤコヅカ」(小塚信哉)は今秋、東京・港区南青山で運営する直営店「スモールトレーズ」をリニューアルした。これまでアトリエに併設していたが、1フロア全てを店舗にして売り場面積は2.5倍となった。
鮮やかなブルーに塗られたエントランスはブランド特有の色の世界に没入する感覚だ。ブルーの床は左右の部屋に伸び、売り場の一部となる。メインの空間は木の床材を敷き詰めた温かみのある雰囲気。一方の部屋には、ブルーの椅子がオブジェのように並び、シーズンの洋服で囲む。もう一方は「オーディナリーライフ」などのベーシックラインや小物雑貨を揃える。それぞれに、小塚が毎シーズン制作する絵画を飾り、決して表には出てこないデザイナーの気配を感じさせている。
「ここにより多くの人に来てもらい、ブランドの根本を感じてもらいたい」と小塚。15年にブランドを設立し、ディレクターの梶浦慎平とともに「アート、ワークウェア、クラフトワーク、優しさといった要素を程良く融合した」形を作り上げてきた。その積み重ねによって、国内の卸売りは「コレクション要素の高い洋服が売れるようになった」。
一方で、海外の卸売りはベーシックラインが中心でギャップがある。「これから先10年、海外でもコレクションが売れるようにしていきたいし、次の目標として、パリで展示会だけでなくショーもやりたい」と梶浦。そのためには物作りのチーム体制が必要と考え、今年、パタンナーや生産管理の専任者を入れた。パリ・メンズファッションウィークの公式スケジュールに照準を合わせ、展示会の体制も整えていく。物作りのスケジュールも早め、一段とオリジナリティーの高いコレクションを制作している。