【センケンコミュニティー】アートの祭典「デザインフェスタ」 破格で手軽な表現の場に 心に刺さる出会いがある
アートの祭典と呼ばれ、東京ビッグサイトで開催されている「デザインフェスタ」が、SNSなどで話題が広まっている。来年で25周年を迎えるが、直近のイベントでも来場者数が増加中だ。
プロ・アマチュアやジャンルに制限がない自由な表現を発表できる場として多彩な出展社が揃い、来場者はかなりの確率で心に刺さるブースと出会えるため、それが口コミになっている。11月10日、11日に東京ビッグサイトで開かれた同イベントを訪れた。
プロ、アマ問わずノンジャンル
デザインフェスタによると、今回の来場者数は5万8000人で、昨年11月展の5万4000人から大きく増えた。前回の5月展で最高記録だった5万9000人に匹敵した。出展ニーズも高まった。出展条件は「オリジナルであること」のみで、キャリーバッグ一つで出展できる手軽さや、1万円台からある出展料金の安さから応募が増えている。今回は約8000人の応募があり、知名度や規模に関わらず抽選を行い、4500ブースが出展した。
会場はジャンル、スタイルは一切問わない「明るいブースエリア」、照明を消して映像作品や照明を効果的に使える「暗いブースエリア」のほか、ライブペイント、パフォーマンス、ワークショップ、ショーステージ、フードなどのエリアで構成している。
出展ジャンルは本当に多岐にわたる。まず回ったのが、ファッションやアクセサリーのエリア。すでにブランドとして卸販売をしているものから、駆け出しのハンドメイド作家までが集まっている。古いきものをふんどしやネグリジェに再構築したものや、「祖母の服を七五三の子供用スーツにリメイクして販売している」という出展者が目に付いた。また雑貨では動物や食べ物をモチーフにしたブースが多く、なかでも猫やウサギ、クラゲ、スイーツ、パン、サンドウィッチがブームになっているようで、どこも盛況だった。
ここまではいわゆるハンド・メイド・イベントと同様の雰囲気だが、来場者をひきつけているのは個性的な物販やパフォーマンスを行う人たちだ。歌やダンスはもちろんのこと、全身タイツを着てその魅力を訴えかけている人や、映画のワンシーンをひらすらパントマイムで演じている人、親子で巨大なライブペイントをしている人など、思い思いに表現している。
ワークショップで好循環生まれる
ここ数回の同イベントでは、ワークショップエリアの充実に力を入れており、来場者数が増えている一つの理由になっている。書道やハーバリウム、万華鏡、食品サンプル、Tシャツ、せっけん、盆栽など、こちらも多様なジャンルで開催。「子供を連れたファミリー層が増えたり、ワークショップを体験してハマった人が自分も制作してみたいと次の出展者になったりする」という好循環が生まれているという。服飾副資材のナクシスグループが運営する「メイカーズベース」もアクセサリー制作のワークショップを開いていた。
また出展者と来場者の距離が近いのも特徴となっている。ある出展者は「じっくり顔を見てお客さんと話ができるのが魅力。自分もほぼ素人に近いので、逆にアドバイスをもらえたり、作品作りの参考になる」と話す。また出展者同士が仲良くなり、新しいユニットや作品を発表するケースもあるという。海外からの出展も多く、異文化コミュニケーションも活発だ。
過去には、人気バンドの「バンプオブチキン」が活動初期のころに出展していたなど、これから活躍するアーティストを発掘する場としても楽しめそうだ。またお笑いタレントで絵本作家の西野亮廣が絵本を売ったこともあり、各業界から注目されている。