SCディベロッパーで、従来の不動産賃貸以外の事業を強化する動きが相次いでいる。コロナ禍以降、事業環境と消費者ニーズが変化するなか、新たなビジネスモデルを作り、成長につなげるのが狙い。各社ともそれまで培ったノウハウを生かしながら、販売や生産などに踏み込み、既存事業の活性化も目指す。
(有井学)
三井不動産は、千葉県木更津市にサステイナブル(持続可能な)ファッションをテーマにした直営の新業態「木更津コンセプトストア」を6月にオープンし、好調だ。欧米ブランドを含む取引先100社以上と協業して規格外品やデッドストック品など約1万~2万点を通常よりも割安価格で販売している。サステイナブルを推進する企業・団体を紹介するスペースなども設けた。店舗運営は他社に委託したが、同社が企画立案と開発、取引先の開拓と交渉、商品の手配などを行う。
コロナ禍で変化
開発のきっかけは、コロナ禍による休業期間中に「取引先から様々な悩みを聞き、余剰在庫の処理問題が改めて大きな課題として挙がり、対応すべきと考えた」(佐野川靖商業施設本部本部長補佐)という。大半の取引先が既存SCと同じで、「約2500社の取引先ネットワークを持つ強み」(若林瑞穂常務執行役員商業施設本部長)が業態開発に生きた。