「ライテンダー」を運営するインターソナーの澤木雄太郎さん ゆるい構えでアップサイクル

2021/03/31 11:00 更新


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 「制約や縛りを設けすぎないのが自分たちのスタンス」と話すのは、工場などで眠る残糸を使ったDtoC(メーカー直販)ブランド「ライテンダー」を企画・販売するインターソナー(東京)の澤木雄太郎さん。商社マン時代の経験を生かしたニットのアップサイクルブランドだが、「企画で必要な糸がなければ新しいのも買います。だって売れないと続かないから」。そんな〝ゆるめ〟の姿勢を正直に伝え、顧客にも好意的に受け止められている。サステイナビリティー(持続可能性)とビジネスのバランスをうまく取りながら、ブランドを丁寧に育てていく。

(永松浩介)

 澤木さんは07年に住金物産に入社、ニットのOEM(相手先ブランドによる生産)を担当していた。6年目に研修でニューヨークへ。現地の大学で学びながら、2年目には「スティーブン・アラン」でインターンとして働いた。そこで後に一緒に仕事をすることになる、小池勇太さんに出会った。帰国後、4年ほど働いた後、18年に独立し自身の会社を立ち上げ、小池さんにも声をかけた。

 当初は商社の手伝いや自ら手掛けるOEMで稼いでいた。設立から順調に事業が回っていたこともあり、ブランド事業を始めることにし、昨年10月にライテンダーをデビューさせた。期間限定の直売会と自社ECがベースだ。

編地から発想

 ブランド立ち上げの背景は、長年OEMを手掛ける中での気付きだ。工場に眠る残糸や残布の多さは知っていたし、もったいないと感じていた。仕入れも安そうだし、自分が得意なニットなら、とコンセプトを固めた。もったいない、を生かすのはフックになる。

 「残糸は今でもめちゃくちゃあります」と澤木さん。付き合いのある中国の工場から買うことが多いが、横のつながりから情報がどんどん入ってくるという。「作り過ぎはそう簡単に解消されないでしょう」。最近では、日本の糸屋から買うケースもあると言う。

 選ぶ糸の条件は、色味とカシミヤなどのいわゆる〝良い糸〟が安く仕入れられること。買った糸で色々な編地を作り、澤木さんと社員の女性デザイナー、小池さんの3人で企画を練る。「(服の)形が先にあって糸を探すとかはないです。糸を編地にしてから発想する」

 商品企画が決まった時にMD上必要な色が足りないこともある。例えば、3色企画して必要な黒がなければ新しい糸はちゅうちょなく買うという。黒だけ別の糸だが、そんなことも包み隠さず伝え、それがさらにストーリーに厚みをもたらす。「お客さんにも好意的に受け止められている」と澤木さん。

 「単にカワイイだけで良い。正直、サステイナブルだから買う人は少ないと思う」。だから、カワイイ商品を作るために新しい糸を買うのもいとわないのだ。原価率も商品によって幅がある。

 ライテンダーの商品の強みは、突出した企画力というよりは、品質と価格とデザインが良い加減でバランスが取れている点。小池さんは、「ファッションとコモディティーの間という新しいカテゴリーかな、と思っている」。デビューしたてだが、今のところビジネスは想定通りという。

基本はユニセックス。Tシャツ7000円(税込み)、ニットは1万円から

原価で海外販売も

 とはいえ、正念場はこれからだ。SKU(在庫最小管理単位)も増え、在庫も積むと、完全消化はできないから在庫は確実に増える。「ブランドを毀損(きそん)するようなセールの見え感は避けたいし、どう処理していくか」

 一つは海外販路だ。ECでは海外販売をしていないが、小池さんのつながりのある海外の小売店や、オーストラリアなど季節が反対の国々に原価で卸すやり方の可否を探っている。また、受注分しか生産しない予約販売の仕組み作りも考えているという。

 ブランドの認知もさらに高めるため、実店舗との連動を考えている。卸商売はしていないが、個店にサンプルとして商品を置いてもらい、ECで購入してもらう仕組みだ。店はショールームのような役割になるが、ECで売れれば店側には通常の卸商売でのもうけを戻すスキームを考えているという。

 OEMで培った物作りの経験が強みになっているという澤木さん。現在の陣容での売り上げは目標は1億円だが、気負わずじわじわ成長させたい考えだ。

右が澤木さん。研修先の「スティーブン・アラン」で出会った小池さん(左)と。小池さんは当時メンズのデザインを手掛けていた

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